自民党総裁選への不出馬を表明し、退陣する菅義偉首相は、昨年9月に総裁選で選出された際などに、「目指すべき社会像」として「自助、共助、公助、そして絆」「まずは自分でやってみる」と掲げた。「自助優先」と批判され、新型コロナウイルスの感染が収束しない中、医療は逼迫(ひっぱく)し、飲食業やサービス業など苦境に立たされたままの人が多い。社会保障に詳しい中央大の宮本太郎教授(福祉政策論)は、菅政権の1年間で、社会はむしろ「無助」状態に近づいたと指摘する。詳しく聞いた。【塩田彩/デジタル報道センター】 首相が発した「まず自助」 コロナで「無助」に近づく ――菅首相は1年前の就任記者会見などで「自助、共助、公助、そして絆」などと語りました。その後の菅政権下の社会をどのように見ていましたか。 ◆1年前に菅首相が「自助、共助、公助」という言葉を掲げた時は、それなりの理念を語ったのだと受け止めました。しかし1年