入院直前の父親の写真を見つめる三男。入院後、わずか1カ月で写真のような褥瘡ができた=東京都内で2023年11月16日午前11時53分、最上和喜撮影 「この病院にいたら殺される」――。電話越しに聞いた父の言葉が、現実になろうとは夢にも思わなかった。昨年、入院患者への傷害容疑で看護師らが書類送検された静岡県沼津市の精神科病院「ふれあい沼津ホスピタル」。2021年12月に80歳で死亡した元入院患者の男性の遺族が、この事件にとどまらない、ずさんな医療の実態を明らかにした。外部と隔絶された「閉鎖空間」で、一体何が起きていたのか。【最上和喜、丘絢太】 男性との電話、看護師が受話器を取り上げ 男性が命の危機にひんしていると家族が知ったのは、「ふれあい沼津」から別の病院に転院したタイミングだった。転院先の医師は「今この場で亡くなっても不思議ではない。(前日まで)医療機関にいた患者とは思えないほどひどい」と