10年近くにわたり、政権の中枢、総理大臣官邸で「インテリジェンス(情報収集・分析)」と「安全保障」に深く携わった人物がいる。 北村滋。 安倍政権では“最も総理に面会した男”として、史上最長の政権を情報面で支えた一方、職責上、業務の内容がほとんど公にされず、活動は謎めいていた。 彼は何を目指し、何を成し遂げてきたのか。単独インタビューで迫った。 (小口佳伸) いまも情報の世界に 北村滋は意外にもシェアオフィスにいた。 政府のNSS=国家安全保障局の局長を去年(令和3年)7月に退任し、会社経営を始めた北村。 私は、若者であふれかえるオフィスに少々面食らいながら、いま何をしているのか聞いてみた。「コンサルティング。クライアントに経済安全保障を中心にアドバイスする仕事ですよ」 アメリカのトランプ政権で大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を務めたロバート・オブライエンとさっそく業務提携を結んだという