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財政赤字の神話 MMTと国民のための経済の誕生 作者:ステファニー ケルトン発売日: 2020/10/06メディア: Kindle版この『財政赤字の神話』は、アメリカの経済学者でMMT(現代貨幣理論)の第一人者、民主党のチーフエコノミストやバーニー・サンダース上院議員の政策顧問を務めるステファニー・ケルトンによるMMTの理屈について書かれた一冊である。 MMTは近年、世界を騒がしているが、その第一人者の本ということでたいへん楽しみに読んだ。MMTの提唱・仮説はかなり大規模なものが含まれていて、正しさが経済の門外漢の僕にはよくわからない部分が多い(大規模な形で実践されていないのだから、経済学者にだってわからんだろうし、意見も割れまくっているが)。が、本書にはどのような考えでMMTが成り立っているのかが網羅的に書かれていて、少なくともその理屈に関しては、非常にわかりやすく、かつシンプルなものだ
1月8日、最近まで、ほとんどのエコノミストは、政府が平常時にささやかな規模以上に借り入れを膨らませる行為を非難してきた。写真はニューヨークのマンハッタンに掲げられた米国の借金時計。2017年11月撮影(2020年 ロイター/Shannon Stapleton) [ロンドン 8日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 最近まで、ほとんどのエコノミストは、政府が平常時にささやかな規模以上に借り入れを膨らませる行為を非難してきた。彼らはおおむね政府を信用せず、公的債務が民間投資を圧迫するだけでなく、物価を高騰させ、景況感を冷やすと証明できる理論を持っていた。ところが今や、財政赤字はそれほど悪い存在ではない。むしろ総じて良いとの見解が優勢だ。 古い考え方が死に絶えたわけではない。政府はいわば国家という大きな家族で、収入以上にお金を使うべきでないという理屈は直観的に訴えかける力がある。ドイツの
前回の記事では、ジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドを長年運用していたスタンレー・ドラッケンミラー氏が、ソロス氏の為替理論を用いてベルリンの壁崩壊後のドイツマルクをトレードした話を紹介した。 ドラッケンミラー氏: 誰もソロス氏の為替理論を理解していない 今回はこのソロス氏の為替理論をコロナ後のドル相場に適用しながら説明してみたい。 ソロス氏が解説するドルの値動き この為替理論は、ヘッジファンドという概念を作ったと言っても良いファンドマネージャーのジョージ・ソロス氏が、自分の投資理論を解説した著書『ソロスの錬金術』で公開しているものである。 この為替理論では、インフレと財政赤字、そして中央銀行の利上げが組み合わさると、インフレ(つまり紙幣の価値下落)にもかかわらず為替相場では為替レートが上昇するとされている。 ソロス氏はそれを1980年代のドル相場をもとに説明しているが、ポール・ボルカー
新型コロナウイルスによる経済的打撃が世界中で深刻な問題となるなか、米連邦準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は5月13日、米経済が長期にわたり低迷する恐れがあるとした上で、議会と政府は支出を拡大する必要があるとの見解を示した。 すでに行われている経済縮小への初期対応が無駄にならぬようやむを得ないとはいえ、政府は巨額の財政負担を背負えるのかという疑問を抱く人も少なくないのではないだろうか。 パウエル議長は4月末にも、経済活動の「前例のない」落ち込みを警告し、現在は財政赤字への懸念による「妨害を許す時ではない」と断言していた。 財務省は5月4日、第2四半期に過去最大の3兆ドル(約320兆円)の借り入れをする方針を明らかにし、米連邦政府の債務残高は5月6日までに25兆ドル(約2560兆円)の大台を突破。今後も前例のないペースで拡大する見通しだ。 とりわけ「財政赤字を膨らますのは悪いこと
日本人は幾度も危機を経験してきた。ここ20~30年だけでも「バブル経済」の崩壊、原子力発電所のメルトダウン、大型台風、世界金融危機があり、そして今、グローバルなパンデミック(感染症の大流行)が引き起こした経済危機に直面している。 深刻な事態が起こるたびに、政策当局は財政政策(首相、財務相、国会議員による対応)と金融政策(中央銀行である日本銀行の対応)を組み合わせて対処してきた。今回もそうだが、日銀と政府が実質的に手を組み、強力なワンツーパンチを繰り出して経済を救おうとすることもある。 日銀が貨幣を創造して景気を刺激せよ 1つ目のパンチは財政刺激策だ。景気をテコ入れするために、政府が支出を増やすと約束するのである。今回のコロナ禍では大幅な支出増加が必要だ。現代の資本主義経済を動かすのは、基本的に売り上げだ。新型コロナウイルス感染症の流行によって売り上げはとくに打撃を受けている。海外からの観光
前回の記事(【緊急公開】日本政府はリーマン・ショックと同じ轍を踏むな!非常時にはなぜ大規模経済対策が必要か?なぜ誤った経済政策は人を殺すか?)では、「非常時には、なぜ大規模な経済対策が必要か?」について解説したが、今回の記事では、「なぜ100兆円規模の経済対策を行っても問題は起きないのか?」について、該当する解説を、私の既刊である『日本の「老後」の正体』の中から無料公開することで解説したいと思う。(嘉悦大学教授 高橋洋一) ************************************* ※次からが引用。『日本の「老後」の正体』は、生徒役の高校生と、指南役の先生(経済学者)との対話で話が進む本である。 ************************************* お金が使われるとお金が増える 高校生 世の中にお金が足りなくなってきたら、日銀がお金を世の中に回すことが
防衛費の増額など政府支出の増加が求められる中、それを増税で賄うのか、それとも国債発行で賄うのか、という議論が折に触れ再燃している。ここでは、そうした論争における各論者の立場の違いを、自分なりに簡単に整理してみる。 ある年度の歳出と歳入を考えた場合、当年度の歳出を賄うのは税収か国債発行による借り入れに二分され、借り入れは最終的な返済手段によって3種類に分類できる。 当年度の歳出を賄う手段 当年度の税収 借り入れ 借り入れの最終的な返済手段による分類 将来の自然増収 将来の増税 将来のインフレ このような財政の資金調達に対する各論者の立場を大まかに分類すると、以下の3つの理念型に大別される、というのがここでの試論。 均衡財政主義 この立場の考え方は概ね以下の通り。 当年度の歳出はあくまでも当年度の税収で賄うことを原則とすべき。借り入れは本来するべきではなく、するとしても資金調達の技術的な要因に
気鋭のエコノミスト永濱利廣氏は『日本病——なぜ給料と物価は安いままなのか』で、「低所得・低物価・低金利・低成長」の「4低」状況を「日本病」と名付け、その原因と、脱却の道筋を考察している。 デフレ脱却のために、海外諸国は大胆な財政出動を行い、見事に立ち直ってきた。なぜ日本は積極的な財政出動に踏み出さないのか?『日本病——なぜ給料と物価は安いままなのか』から見てみよう。 政府債務残高は増えるのが「ふつう」 サマーズ氏やバーナンキ氏に限らず、海外の主流派経済学者の間では、デフレ脱却のためには金融緩和に加えて財政の積極的な出動が必須であるというのが常識になっています。 しかし、日本では均衡財政主義が主流になっています。そして、マスコミでは「日本の政府債務が増えて大変だ」というメッセージが定期的に流されるので意外に思われるかもしれませんが、海外と比較したグラフ(図表4-2)を見ると、明らかに日本の政
このところ、財政支出の拡大を求めるさまざまな提案の是非をめぐって、活発な議論が行われている。今年の春から夏にかけてはMMT(現代貨幣理論・現代金融理論)が注目を集めたが、財政政策の役割を重視する考え方は、「正統派」とされる経済分析の枠組みにおいても広がりをみせている。もちろん、このような「財政赤字容認論」に対しては根強い批判もある。 残念なのは、財政赤字の容認や積極財政の是非を問うこのような議論が、ともすると極端な方向に流れがちなことだ。財政支出の拡大を懸念するあまり、いきなり「国債暴落」や「ハイパーインフレ」を持ち出すとなると、財政が破綻する前に議論のほうが発散してしまうことになるだろう。 そこで、本稿ではこれまでの財政運営をめぐる経過を振り返りつつ、財政赤字容認論はどこまで許容できるかについて論点整理を試みることとしたい。以下ではまず日本の財政状況について確認したうえで、財政赤字容認論
「霞が関全体に、ことなかれ主義の風潮がある中で、行政官のトップが自らの立場を踏まえながら、官僚や国民にどう持論を発すべきか、を示したことは、議論のよい出発点になりえます。ただし、論じられた内容についていえば、ほぼ100%、私は賛成できません」 新聞、テレビ、ネットと各方面で話題を呼んだ「財務次官、モノ申す『このままでは国家財政は破綻する』」(「文藝春秋」11月号掲載)。 アベノミクスの提唱者として知られる浜田宏一氏(イェール大学名誉教授)は、「現役の財務事務次官である矢野さんが論文を発表したことは、立派だったと思います」と評価しながらも、論文の内容に関する評価は厳しい。 日本は「借金大国」なのか? 「第一に、『日本は世界最悪の財政赤字国である』という認識は事実ではありません。 矢野論文は、財政赤字の指標として、一般政府債務残高をGDPで割った数字が256.2%と先進各国の中でも突出して悪い
「霞が関全体に、ことなかれ主義の風潮がある中で、行政官のトップが自らの立場を踏まえながら、官僚や国民にどう持論を発すべきか、を示したことは、議論のよい出発点になりえます。ただし、論じられた内容についていえば、ほぼ100%、私は賛成できません」 【写真】この記事の写真を見る(2枚) 新聞、テレビ、ネットと各方面で話題を呼んだ「 財務次官、モノ申す『このままでは国家財政は破綻する』 」(「文藝春秋」11月号掲載)。 アベノミクスの提唱者として知られる浜田宏一氏(イェール大学名誉教授)は、「現役の財務事務次官である矢野さんが論文を発表したことは、立派だったと思います」と評価しながらも、論文の内容に関する評価は厳しい。 「第一に、『日本は世界最悪の財政赤字国である』という認識は事実ではありません。 矢野論文は、財政赤字の指標として、一般政府債務残高をGDPで割った数字が256.2%と先進各国の中で
巨額の財政赤字を抱えるアメリカ。左=ドナルド・トランプ大統領、右=ジェローム・パウエルFRB議長(Getty Images) 新型コロナウイルスによる経済的打撃が世界中で深刻な問題となるなか、米連邦準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は5月13日、米経済が長期にわたり低迷する恐れがあるとした上で、議会と政府は支出を拡大する必要があるとの見解を示した。 すでに行われている経済縮小への初期対応が無駄にならぬようやむを得ないとはいえ、政府は巨額の財政負担を背負えるのかという疑問を抱く人も少なくないのではないだろうか。 パウエル議長は4月末にも、経済活動の「前例のない」落ち込みを警告し、現在は財政赤字への懸念による「妨害を許す時ではない」と断言していた。 財務省は5月4日、第2四半期に過去最大の3兆ドル(約320兆円)の借り入れをする方針を明らかにし、米連邦政府の債務残高は5月6日までに
日本でも注目を集めつつある現代貨幣理論(MMT)の主唱者、ステファニー・ケルトン。日本のように自ら貨幣を発行できる国は財政破綻することがない、という大胆な理論を唱える彼女に、仏誌「ル・ポワン」が徹底的に疑問をぶつけた。 米国の連邦議会にはハトとタカの二派がいる。ハトは減税よりも財政支出拡大を好む一派で、民主党の議員に多い。一方のタカは、財政支出拡大よりも減税を好み、共和党の議員が大半を占める。 そんなハトとタカだが、アメリカ政治という鳥小屋では意見が一致することもある。たとえば中期的には、公的債務が増大するのを全力で食い止めようとするのはハトもタカも一緒だ。 そんななか、フクロウを自任する米国人経済学者がいる。その名もステファニー・ケルトン(51)。フクロウとは財政赤字も公的債務も重視する必要がないとする一派である。 ケルトンは2015年から米上院予算委員会の民主党のチーフエコノミストを務
要旨 海外において経済政策の新た理論として台頭しているのが「財政赤字の適温理論」であり、財政には政府債務と財政赤字の望ましい組み合わせを示す「適温領域」が存在することを示す。 2019年時点の日本は、財政赤字を減らすとむしろ債務が増加する状況にあり、財政赤字を増やすことで政府債務が減少する状況が、財政赤字/GDPが3%弱に達するまで続く。その後は反転して財政赤字拡大とともに政府債務も増加するようになり、政府債務残高/GDPが223%になる時点で財政赤字/GDPは3.5%で最大域に達し、その点よりも債務を増やすと持続可能な財政赤字は減少し、最終的に財政赤字をゼロにしなければならない金利>名目成長率の状況に到達する政府債務残高/GDPは446%になる。 国債は日本国内に居住する民間部門の資産になるため、納税者が償還財源を負担すべき債務として国債が将来世代に引き継がれるということは、民間が保有す
この決定は歓迎すべきことだが、できれば20万円の現金を給付すべきだと私は考えていた。政府の自粛要請によって仕事や収入を失った人々が当面暮らしていくには、最低でも20万円は必要だからである。 そこで、追加の10万円給付がなされるように、微力ながら財務省に嘆願書を提出したり、国会議員に働きかけたりしたが、かなわなかった。 国民の間に追加給付を切望する声が挙がっていたにもかかわらず、政府が採用しなかった理由は明確だ。お金をケチるという「緊縮」体質が政府にしみついているからだ。 この非常時において一見意識が変わってきているように思えるが、政府は「財政規律を守るべきだ」という基本的なスタンスを捨て切れていないだろう。財政支出の大幅な増大は避けられないが、それでもなるべく少なく抑えたいという思惑が見え隠れする。 政府のこの緊縮路線は、コロナ対策に十分な予算を確保しないという問題だけでなく、コロナ収束後
俳優の草刈正雄さんが、2020年3月からWOWOWで放送される連続ドラマ「連続ドラマW オペレーションZ ~日本破滅、待ったなし~」で、自身初の総理大臣役に挑戦することが12月26日、分かった。財政赤字1000兆円の危機を救うため、大胆な提案で改革を進める総理大臣、江島隆盛を演じる。 【写真特集】“ガンコじじい”草刈正雄がデレた!? 思わずもらい泣き…こんな表情も!! ドラマは、経済小説「ハゲタカ」シリーズで知られる真山仁さんによる国家財政の危機を描いた作品「オペレーション Z」(新潮社)が原作。連続ドラマ「相棒」「科捜研の女」などの櫻井武晴さんが脚本。「連続ドラマW 真犯人」「WOWOW×東海テレビ共同製作連続ドラマ犯罪症候群」シリーズの村上正典さんと、「WOWOW×東海テレビ共同製作連続ドラマ犯罪症候群」シリーズの都築淳一さんが監督を務める。 草刈さんは、今回の役について「官房長官(映
2023年09月22日 【政治】「財政赤字の原因は?」→経済学者「社会保障費」 国民「政治の無駄遣い」 カテゴリ社会・政治 Tweet 1:アシクロビル(東京都) [US]:2023/09/22(金) 18:35:22.00 ID:/4KgFosQ0 BE:543917762-2BP(2000) 「財政赤字の原因は何だと思いますか」――。東京財団が5月にユニークなアンケート結果を公表した(※)。 設問自体は一般的だが、これを「経済学者」と「国民全般」に分けて集計し、その意識の乖離かいりに焦点を当てたのだ。 回答は選択肢から2つを選ぶ手法で、選択肢は「社会保障費」「公共事業」「高い公務員の人件費」「政治の無駄遣い」「その他」「わからない」の6つ。見事に経済学者と国民の意識の違いが表れた。 経済学者が考える赤字の原因は「社会保障費」が72%に及びトップになった。「政治の無駄遣い」41.1%、「
アメリカの2019年度の財政赤字が日本円で100兆円を超え、7年ぶりの高い水準となりました。トランプ政権下での国防費の増額や大幅な減税が主な要因ですが、トランプ大統領が来年の大統領選挙をにらみ積極的な財政出動を続けるのは確実な情勢で、財政再建はさらに遠のきそうです。 それによりますと、アメリカの財政赤字は9843億ドル、日本円でおよそ107兆円で、前の年度より26%増えて、2012年度以来、7年ぶりの高い水準となりました。主な要因は、トランプ政権下での国防費の増額に加え高齢化に伴う社会保障費の増加で支出が増えたことにあります。 一方、収入面では企業業績の回復で法人税の収入が増えたほか、中国の輸入品などへの高い関税の上乗せで関税の収入も71%増加しましたが、トランプ大統領が主導する大幅な減税で税収の伸びが抑えられる形となりました。 この結果、アメリカの財政赤字は4年連続で拡大したことになりま
気鋭のエコノミスト永濱利廣氏は『日本病――なぜ給料と物価は安いままなのか』で、「低所得・低物価・低金利・低成長」の「4低」状況を「日本病」と名付け、その原因と、脱却の道筋を考察している。 【図でわかる】日本の実質賃金は先進国で「最下位レベル」 デフレ脱却のために、海外諸国は大胆な財政出動を行い、見事に立ち直ってきた。なぜ日本は積極的な財政出動に踏み出さないのか? 『日本病――なぜ給料と物価は安いままなのか』から見てみよう。 サマーズ氏やバーナンキ氏に限らず、海外の主流派経済学者の間では、デフレ脱却のためには金融緩和に加えて財政の積極的な出動が必須であるというのが常識になっています。 しかし、日本では均衡財政主義が主流になっています。そして、マスコミでは「日本の政府債務が増えて大変だ」というメッセージが定期的に流されるので意外に思われるかもしれませんが、海外と比較したグラフ(図表4-2)を見
アメリカの先月・3月の財政赤字は、家庭への現金給付を柱とする大型の経済対策の実行で支出が急増したことから、前の年の同じ月の5倍以上に膨らみました。 積極的な財政出動を打ち出すバイデン政権には、財政悪化の懸念が指摘されています。 アメリカ財務省の12日の発表によりますと、先月の財政赤字は6595億ドル、日本円でおよそ72兆円となり前の年の同じ月の5.5倍に膨らみました。 これは、新型コロナウイルスに対応した家庭への現金給付を柱とする200兆円規模の経済対策が先月成立し一部が実行されたためで、3月として最悪の水準となります。 バイデン政権の大規模な財政出動を伴う経済対策は、景気回復を後押しする効果がある一方で、財政を悪化させる懸念も指摘されています。 アメリカの政府の借金にあたる公的債務の残高もすでに28兆ドル、日本円で3000兆円を超えています。 バイデン大統領はさらなる財政出動となる、巨額
ロシアの首都モスクワ中心部の外務省の建物の前に設置された、ウクライナ侵攻のシンボル「Z」の文字を示す看板(2022年10月13日撮影、資料写真)。(c)Alexander NEMENOV / AFP 【1月11日 AFP】ロシアのアントン・シルアノフ(Anton Siluanov)財務相は10日、昨年の財政赤字が3兆3000億ルーブル(約6兆2000億円)に達したと明らかにした。対国内総生産(GDP)比2.3%に相当する。ウクライナ侵攻に伴い防衛費が増大した。 2021年は黒字だった。シルアノフ氏は政府の会合で、財政赤字となったのは「主に国民の支援を目的とした」歳出が6兆ルーブル(約11兆円)以上増えたためだと説明した。 政府は、ウクライナ侵攻に参加する兵士の家族や、昨年9月に発動された予備役の部分的動員令の影響を受けた企業に支援金を拠出している。 一方、ウクライナ侵攻後のエネルギー価格の
というNBER論文が上がっている(ungated版)。原題は「A Goldilocks Theory of Fiscal Deficits」で、著者はAtif R. Mian(プリンストン大)、Ludwig Straub(ハーバード大)、Amir Sufi(シカゴ大)。 以下はその要旨。 This paper proposes a tractable framework to analyze fiscal space and the dynamics of government debt, with a possibly binding zero lower bound (ZLB) constraint. Without the ZLB, a greater primary deficit unambiguously raises debt. However, debt need not
前回エントリで取り上げたマンキューらの財政赤字ギャンブル理論は、その後の経済学の展開を踏まえた現在の観点からすると、以下の2点で考慮不足があるように思われる。 増税によって成長率が下がり、債務GDP比率が想定ほど改善しない、ないし、むしろ悪化する可能性を考慮していない。 破綻について、債務GDP比率がある閾値に到達して破綻、と定義しているが、その際に具体的にどの程度の損失が生じるかを定量的に検討していない。従って、その損失と財政赤字計上による利得との比較考量にまで考慮が及んでいない。 前者について本ブログではデロング=サマーズ理論を基に既に何度か考察しているので(ここ、ここ、ここ、ここ)、ここでは後者について簡単な計算例を考えてみる。 今後の財政赤字を毎年dtだけ増やした場合、乗数を1とすれば、今後N年間にΣt=1..NdtだけGDPが増えることになる。一方、財政赤字を増やした結果、N年後
川端先生、はじめまして。東北大学病院で医師をしている者です。 東北大学の先生がMMTについて詳細なコメントをされ、また(多くのメディア記事と異なり)好意的な意見を出されていることに、大変励まされます。 私は基礎的な訓練を受けたことがなく、先生にご意見するのも差し出がましいのですが、先生がご懸念されている、必要な歳入を事前に計算しておくべきではないか、そのためにどこから税をとるべきか、という点について、私が知っている範囲でコメントさせていただきたく存じます。 まず、MMTの立場では、インフレに対処する際には、あるいはインフレ圧力を抑制する際には、その原因を分析することに重きを置いていたと思います。例えば、70年代のオイルショックにおいては、総需要を削減する緊縮政策は間違っており、天然ガスの規制緩和によって供給量を増やすなどが奏効したと言っています。 例えばこちら→http://econday
財政赤字が巨額である事をイメージさせようと、家計の赤字に喩える事があるが、ミスリーディングなので避けるべきであると筆者は考えます。(経済評論家 塚崎公義)。 財政赤字を家計に喩えるのはミスリーディング 財政赤字が巨額であることを印象付けようとして、財務省は「国の財政を家計に例えると、収入が○万円しかないのに○万円も支出しているようなもの」という説明をしています。 たしかに身近な家計に例えて、金額の単位も兆円ではなく万円にすると、財政が大幅な赤字となっている事が強く印象づけられるわけですが、これはミスリーディングなので、不適切な説明だと言えるでしょう。 家計の赤字を減らすためには、収入を増やすか支出を減らす必要があります。今より多く働いて収入を増やし、今より節約して支出を減らせば良いわけですね。では、国が収入を増やしたり支出を減らしたりしたら、何が起きるでしょうか。 国が収入を増やすためには
そろそろブームが去った感のあるMMT方面から、ジンバブエは財政赤字ではなく、不適切な土地改革による生産力低下でハイパー・インフレーションになった説が唱えられることがある*1。確証バイアスがあるのだと思うが、インフレが加速していった時期の認識が曖昧で、眺めている経済指標の種類が僅かなことから生じる誤謬である。時系列を確認すると生産力の低下の前にインフレ加速をしており、インフレーションによって投資が落ち込んで生産力が低下したと考える方が自然だ。 ジンバブエのインフレ加速は、悪名高い2000年2月に打ち出され8月から実効されたジンバブエの白人プランテーション農場主から土地を取り上げてプランテーション労働者に配る土地改革ファスト・トラックと同時に説明されることが多いのだが、ジンバブエのインフレ加速は1998年(公式発表で48%; 1997年は20%)頃からはじまり2008年(〃355,000%)に
マンキューがブログで、「四半世紀後、依然として重要で、おそらくはより重要になっている(Still relevant, maybe more relevant, after a quarter century.)」というコメントを添えて、MarketWatchの記事(注:無料閲覧回数に上限あり)にリンクしている。同記事では、マンキューがローレンス・ボール(Laurence M. Ball)、ダグラス・エルメンドルフ(Douglas W. Elmendorf)が1995年に共著した論文「The Deficit Gamble」が取り上げられている。以下は記事の概要。 1995年の論文では、正しい条件の下では政府は無限に財政赤字を計上して債務を借り換え続けることができ、債務を実際に返済することが無いという賭けができる、としている。 四半世紀が経過し、連邦債務が何十兆ドルと積み上げられた後、パンデミ
◆完全雇用掲げ就業保証も [評]菅原琢(政治学者) 現代貨幣理論(MMT)という言葉を初めて耳にしたなら、経済学の小難しい議論を想定し身構える人も多いだろう。しかし、財政や経済政策に関する種々の“神話”を否定して正しい理解に導くとする本書の語りは、拍子抜けするほど平易で明快である。 政府予算を家計に準(なぞら)えるメディアは日本でも数多く、この際に収入を上回る支出、つまり財政赤字は当然のように危険視される。だが本書は、自ら通貨を発行する政府の財政を一般家庭の家計と同一視することは誤りと断じる。財政赤字はむしろ国民の富や貯蓄を増やすものであり、これを過度に抑制しては国民の経済と生活が脅かされるのだ。 端的に言えば、MMTは財政規律や「財政健全化」に意義はないと主張するものである。インフレに気を付ける必要はあるが、政府は財政赤字をあまり気にせずに施策を打てる。これが正しければ、大規模対策が求め
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