神奈川臨海鉄道という鉄道会社をご存じだろうか。神奈川県の川崎・横浜地区の臨海部に貨物線を3路線保有・運行するJR貨物グループの企業である。 市販の鉄道路線図を開いても貨物線は掲載されておらず、どのような路線が運行されているのか、一般にはあまり知られていないのではないか。本稿では、神奈川臨海鉄道の歴史と現在の事業内容をレポートするとともに、近年、見直しの機運が高まりつつある鉄道による貨物輸送の今後の展望等について、同社取締役営業推進部長の松田博和氏に話を聞いた。 開業の背景に「埋立の進展」 まずは、神奈川臨海鉄道が誕生した背景を知るために、神奈川県における埋立地の造成とそこに敷設された貨物線の歴史を概説する。 国際貿易港としていち早く開かれた横浜港は、貿易の伸展とともに拡張が必要とされ、明治後半、現在も赤レンガ倉庫やハンマーヘッドクレーンなどの歴史的構造物が残る新港埠頭の造成が行われた。この