まず「闇バイト」という用語がよくない。アルバイトの語感からお手軽な高額報酬を連想すれば、悲惨な末路が待っていることを知るべきである。 警察庁がこの夏にまとめた『犯罪実行者募集の実態~少年を「使い捨て」にする「闇バイト」の現実~』という事例集が実にリアルだ。 犯罪と直接向き合う都道府県警からの報告が基になっているのだから当然だろう。学校や地域での啓発活動に、大いに活用してほしい。 「闇バイト」とは「犯行グループが切り捨て要員の実行役を手広く募集するもの」と規定する。応募から検挙までの典型例を報告から読み取れば、おおむねこんな経緯をたどる。 ネット上の「高額報酬」などの文言につられて応募する。あるいは検索するだけで誘いのメッセージが届くこともある。これに応じると匿名性の高いアプリをインストールさせられ、履歴書や運転免許証などの写真送信を要求される。言葉巧みに家族構成や交際相手について情報を求め