岸田文雄首相は8日の政府与党政策懇談会で、防衛費増額の財源についての方針を表明した。そこで大きく注目されたのが、「増税」方針である。減税だけは全力で否定するが、増税方針は具体的に即座に決める。財務省のコントロール下とも揶揄(やゆ)される岸田政権の特徴をよく表している決定だ。 来年度から5年間の中期防衛力整備計画での防衛費総額は、約43兆円になる。2027年度には、国内総生産(GDP)比率で2%ほどに増加する。現在の軍事的脅威を考えれば妥当な方針に思える。 だが、よく見ると防衛費本体に加えて、さまざまな関係諸経費が「水増し」された金額だ。ともあれ、歳出改革、防衛費のための財政基金の創出、決算剰余金の活用などでやりくりしても、1兆円ほどの増税が近いうちに必要だというのが岸田首相の考えだ。 「増税」はいまの日本の世論や政治環境の中では、意見の分断を招く最たるものだろう。岸田首相はいまは所得増税を