記憶にある中で初めて私に自己肯定感を与えてくれたのはカードゲームだった。 小学生時代の近所の友達は野球少年だった。ゲームなどは買ってもらえず、ゲームが好きな友達と遊ぶことはできなかった。近所の友達は好きだったし、彼らも私によくしてくれた。だが野球は嫌いだった。運動音痴でただただ惨めな思いを重ねるだけの憂鬱な行為であった。面白いと思えず、うまくなりたいという情熱も湧いてこなかった。いつも雨が降って遊戯王カードで遊べることを願って眠り、朝起きて晴れた空を見てはうんざりしていた。 ずっとカードゲームは好きだったが、はじめは特別な情熱があったというわけではない。苦手な体を動かす遊びでない遊びだから相対的に好きだっただけだったように記憶している。特に強いわけではなく、むしろ弱かった。 それが変わったのは四年生のときだった。クラスではバトル鉛筆、通称バトエンが流行っていた。授業をまじめに聞ける落ち着き