雑誌や書籍で、アニメ作品を紹介するとしよう。書くべき事はなんだろうか。まずあらすじ。次にスタッフの陣容、歴史的位置づけ、他の作品との比較、制作にまつわるエピソード。さらにできれば書き手自身のスタンスや感想も加えたい。それが、これまでに提示されていない視点のものであれば、なおよろしい。そして、バランスをとりつつ、決められた文字数の中で過不足なく展開しなければならない。こう書けば、レビューがいかに難しいか分かっていただけるだろう。「アニメーションの宝箱」は、その見事なお手本である。告知から発売までずいぶん時間がかかったが、待った甲斐のある本だ。 著者は五味洋子。知らない読者のために紹介すると、老舗サークル・アニドウで長く活動し、またアニメーターとして『未来少年コナン』等にも参加。主婦となった今も現役バリバリでアニメを楽しみ、雑誌等に寄稿している。つまりは、アニメファンの大先輩だ。ちなみにアニメ