「格差・貧困に効く経済学」を宣伝文句にしている飯田泰之の議論を要約すると次のようになる。?貧困を解決するためには経済成長が必要である、?経済成長のためには新自由主義的システムが効率的で、法人税は廃止すべきである、?労働者派遣法はさらに規制緩和して派遣雇用を拡大すべきだ、?社会保障のコストを減らすため、人口1万人以下の自治体に住む住民は政令指定都市に強制移住させるべきだ、?所得税の累進課税は強化すべきである、?社会保障はベーシックインカムの支給で対応する、以上。最初に、われわれが確認しなければいけない点は、経済成長は貧困を解決する絶対条件ではないという問題だろう。この事実は、小泉竹中の構造改革が「イザナギ景気」を超える最長不倒の好景気を日本経済に招来しながら、貧富の差が開き、働く貧困層の急増と悲劇が社会問題となった経緯を想起すれば簡単に頷ける。今世紀に入ってからの経済成長によって大企業は空前