2月に、吉本たいまつさんが出版されました『おたくの起源』(NTT出版)。 発売日に購入し、早々と読了していたのですが『マンガ論争勃発2』の執筆もあり、紹介する機会を 逸しておりました。 あとがきによれば、非常に長期に渡って調査をされたらしく、苦労の感じられる労作です。 オタク文化におけるSFの重要性を教えてくれた点では評価できる本だと思います。 ただ、読んでいく中では疑問を感じずにいられない点がいくつも見られました。 今後のオタク文化史研究の上で、避けられない問題ばかりだと思いますので、指摘させて頂きたいと思います。 1:全共闘の捉え方が一面的すぎる 吉本さんは、全共闘運動の中にあったマンガを語る動きが、その後のオタク文化の勃興に影響を与えていると考えています。 ところが、全共闘運動の中にあった世代間や大学ごとの意識の隔絶や対立に触れていません。この本だけを読むと、あたかも全共闘運動のすべ
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