「閉じ込め状態」というのを知っているだろうか。発病すると体中の筋肉という筋肉が次第に動かなくなっていく筋ジストロフィーなどの難病や脳損傷の病状が進行していった先、待ち受けているのは腕や足どころか、だれでも簡単に持ち上がりそうなまぶたの筋肉すら自らでは持ち上げることのできなくなる状態だ。まさに体というびくともしない「檻」のなかに、発病前となんらかわらない意識と五感だけが閉じ込められた状況。それが文字通り、「閉じ込め状態」と呼ばれているものだ。 21日にあったNHKスペシャル「命をめぐる対話“暗闇の世界”で生きられますか」は、作家の柳田邦男が別々の地域にくらす三人の「閉じ込め状態」にいる患者をたずねるという構成をとっていた。特にその中の一人照川さんという元警察官の人は、番組終盤で柳田と“ある論点”で激しく対立する。 □□□ 僕はこの「閉じ込め状態」、そういうものがあるということだけはどこかしら