夏に仕事の繁忙期があって、毎日自宅から片道1時間半かけて通勤しつつ、定時後もバリバリ残業をこなすような生活がしばらく続いて、立て込んでいた仕事がひと区切りついたころ、どこか遠いところでぼーっと過ごそうと思い仙台空港行きのチケットを取った。10月初旬のことだった。 西日本で生まれ育った人間の「遠くへ行きたい」という欲求は、しばしば東北方面へ向かうことが知られている。また、ちょうど漫画家のつげ義春の旅行エッセイを読んでいて、東北地方の温泉地に興味を持っていたというのもある。 蒸発という言葉が似合うつげの衝動的で刹那的な旅と放浪の記録を読むと、「どこか行くか」と思い立ったその日に何も考えずふらっと旅に出ることができた学生時代を思い出す。現代日本の標準的なサラリーマンにそのような奔放な振る舞いは難しく、今では事前にしっかり有給休暇を申請して金土日の2泊3日という社会の歯車スタイルで毎回やっていって
![東鳴子温泉に引きこもる - 10万匹のヌートリアが](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/04fbed308bfa32129fb4a6b868e305c3229334ba/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-ak.f.st-hatena.com%2Fimages%2Ffotolife%2Fk%2Fkamoi03%2F20230218%2F20230218190457.jpg)