・ 「反知性主義」が一種の流行語となっているらしい。「文学界」のような文藝雑誌までが特集するかと思えば、佐藤優の『知性とは何か』(祥伝社)という新書の新刊が、書店に並んでいる。私は、反知性主義も嫌いだが、知性主義も嫌いである。佐藤優は、安倍晋三や麻生太郎を、「反知性主義」の典型的な例として論じている。たしかに「ポツダム宣言を読んだことがない」とか、「憲法改正はナチスに学べ」というのは、どう見ても、「知性」的ではない。まさしく「反知性主義」である。 しかし、私の考えは少し、違う。むしろ、現代日本の病根は、「反知性主義」にあるのではなく、「知性主義」の方にあると思ってている。これを、厳密に言うと、「知性主義という名の反知性主義」が、現代日本の言論空間に蔓延していることこそが、最大の問題だと言っていい。私が、『ネット右翼亡国論序説』で、問題にしようとしているのは、「反知性主義」だけではなく、「知