百科事典のことをもう少しだけ書こう。 何か本を薦めろとか、良い本はないかとか、すごいのはどの本だ?などと尋ねられて、本気で答えていいのなら、百科事典をあげる。 何百人どころではない、何千人もの「第一人者」が、それもてんでばらばら好き勝手なことを書き散らすというのでなく、尋常でないエディターシップのもと、世界のおよそすべてのことのうち、どうしても言い落とせないことばかりを集めて編んだ、これほどの浩瀚なものは事によるとこの先望むべくもないかもしれない、人間知性の歴史のなかで、その偉業を瞼の裏に刻み付けるに足りるような、そんな書物。 しかも、ただの記念碑の類いとちがって、今このときも、大いに使えて、すごぶる役に立つ。その有益さや、ページあたりや単価あたりのコストパフォーマンスも群を抜く。ほとんどの本は太刀打ちできまい。 では何故、人は百科事典のことを取り上げたり誉めたたえたりしないのか? 職業書
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