民衆の力と未来の可能性 1968年は「民衆蜂起」の年だった。1月には北ベトナム人民軍と南ベトナム解放民 族戦線がアメリカ大使館とアメリカ軍基地に対して行ったテト大攻勢。5月にはフ ランスで起きた学生・労働者による大規模なゼネスト。10月にはメキシコシティ ・オリンピックの表彰台で人種差別に抗議するアメリカの黒人選手たちが拳を高 く掲げた示威行為があった。これらは遠く離れた地域で個別に起きた出来事だっ たのだろうか。それとも世界歴史の深い脈絡をつなぐ出来事だったのだろうか。 そしてその40年後の今、私たちは何を学び、何を実現し、何を失ったのであろう か。人類は共存し、自らを平和に治める能力があるのだろうか。 社会学者ジョージ・カシアフィカスは、数々の民衆蜂起の現象を研究してきた人 物だ。何百万人にもおよぶごく普通の人々が突然政治的弾圧と搾取に反逆し、無 秩序のごとく立ち上がって短期間ながら平
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