「俺が監督だったあの8年間で認めた数少ない選手だ」。プロ野球で通算2千安打を記録した中日ドラゴンズの荒木雅博内野手(39)に、監督として間近で接してきた落合博満氏(63)が、まな弟子の人柄から練習での裏話まで、すべてを語り尽くした。 俺が中日の監督に就くことが決まったとき。荒木は「もうダメだ」と、あきらめかけたという。打撃三冠王の俺が守りの野球をやるという発想は、当時の中日の選手にはなかった。大量点を狙う野球をやると思ったらしい。そうなると、打撃が下手な選手は試合に出られないだろ? だけど走攻守3拍子そろった選手はまず、いない。俺も1人の選手にすべての才能を求めなかった。荒木は、代走を足がかりに試合に出られるようになった選手。消化した試合数よりも1本多くヒットを打て。それをお前の調子の目安にする。そうは伝えたけど、打ってくれなくても良いと思って使い続けた。 例えば、走者一塁の場面。併殺崩れ