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2016年2月13日のブックマーク (6件)

  • 時は流れない

    時が流れるということを疑う人はいないだろう。時間の経過はおそらく人間の認識の最も基的な側面を表している。というのも,人間は過ぎゆく時間を自己の最も奥深い部分で感じており,それは例えば空間や質量についての体験よりも概してずっと根深いものだからだ。時間の経過は飛んでいる矢や大河の流れに例えられ,私たちを過去から未来へと無情にも連れ去るものとして考えられてきた。シェークスピア(WilliamShakespeare)は「時は巡り」と書き,やはり英国の詩人であるマーベル(Andrew Marvell)は「時という名の,翼のある馬車が迫り来る」とうたった。 こうした見方は詩情をそそるが,一方では衝撃的なパラドックスを生む。現代物理学には,時の経過という概念がないのだ。物理学者たちによると時間は流れず,単に「存在する」だけだ。哲学者の中には,時間の経過という概念それ自体が無意味であり,時間の河や流れと

    時は流れない
  • 『時間SFの文法』決定論/時間線の分岐/因果ループ

    面白くて危険な書。 「時間SF」とは、特殊な時間世界を設定した上で、時間旅行のような特殊な経験を描いた作品を指す。タイムトラベルとかループものといえばピンとくるだろう。 著者は、古今東西の小説映画、アニメにおける時間SFを読み解きながら、基的なアイディアや物語パターンを整理する。その上で、現代の時代感覚と照応するアイロニーやニヒリズムをあぶりだす。様々な定義や区分けを行っているが、代表的なものを書き出してみた。 タイム・トラヴェル型(意図した時間に計画的にジャンプ)タイム・スリップ型(否応なしに強いられた時間移動)シャッフル型(ジャンプ先がランダム)歴史改変型歴史不変型並行世界型生き直しパターン再生パターン反復世界型逆行もの(時を遡上する)異時間通信もの(メッセージが時を超える)偶然世界型(些事の積み上げの中に分水嶺が潜む)改良偽装型自己増殖型時の果てを望む(時間の外へ) ハインライン

    『時間SFの文法』決定論/時間線の分岐/因果ループ
  • 『世界システム論講義』はスゴ本

    「なぜ世界がこうなっているのか?」への、説得力ある議論が展開される。薄いのに濃いスゴ。 世界史やっててゾクゾクするのは、うすうす感じていたアイディアが、明確な議論として成立しており、さらにそこから歴史を再物語る観点を引き出したとき。「こんなことを考えるの私ぐらいだろう」と思って黙ってた仮説が、実は支配的な歴史観をひっくり返す鍵であることを知った瞬間、知的興奮はMAXになる。 たとえば、「先進国(developed)」と「途上国(developing)」という語に、ずっと違和感があった。「後進国」は差別的だからやめましょうという圧力よりも、この用語そのものが孕む欺瞞を感じていた。 なぜなら、この語の背景として、近代化・工業化が進むというプロセスがあるから。なんなら、進化のメタファーを使ってもいい。産業構造が一次から高次に転換するとか、封建社会から資主義社会に"進化"するといった欧米の経済

    『世界システム論講義』はスゴ本
  • American Panorama

    American Panorama is an historical atlas of the United States for the twenty-first century. It combines cutting-edge research with innovative interactive mapping techniques, designed to appeal to anyone with an interest in American history or a love of maps.

  • 歴史を俯瞰するデジタル地図「アメリカン・パノラマ」

  • なぜアメリカ先住民が旧大陸を征服できなかったのか 『銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎』 - すぐびん

    もしもある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知ることができ、かつもしもそれらのデータを解析できるだけの能力の知性が存在するとすれば、この知性にとっては、不確実なことは何もなくなり、その目には未来も(過去同様に)全て見えているであろう。 — ピエール=シモン・ラプラス 今年は歴史の年にしようかしらん、などとぼんやり企みつつ、『銃・病原菌・鉄 / ジャレド・ダイアモンド(倉骨彰 訳) / 草思社』を改めて手に取った。時間をおいて再読すると、いやー印象が変わるものです。 大陸の各地に誕生した文明になぜこれほどまでの差がついてしまったのか、書はその根源を解き明かします。2000年に翻訳出版された当時すこぶる好評で、様々な企画で推薦に選ばれました。昨年の『21世紀の資』みたいな扱われ方かな。 中身を強引に要約してしまうと、文明の強弱、端的に言えばヨーロッパ文明が跋扈し全大陸をことごとく

    なぜアメリカ先住民が旧大陸を征服できなかったのか 『銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎』 - すぐびん