人工知能はどこまで「正しい」のか? (上)では、臨床検査は決して万能ではないこと、稀な疾患をスクリーニングすると、疾患を持っていないのに「陽性」と診断された人の数が、正しく診断された人の数よりもはるかに多くなることがある、といったことを述べました。 新たな検査が行われる場合、大まかな感度・特異度についての知識は事前に共有しておく必要がありますが、これはたとえAIのように、非常に精度の高い検査であっても変わりません。AIに学習させるとき、教師データ中の疾患と健常のデータ割合は1対1~10くらいであることが通常です。 もし疾患データと健常データが1対1だった場合、この教育により感度・特異度ともに99%のAIが開発されたとすると、この実験においては「正解率99%」です。 ではこのAIを罹患率1%の疾患に当てはめるとどうでしょうか。下のように、AIが陽性と判断した中の疾患のある患者の割合は50%ま