『4ヶ月、3週と2日』― ルーマニア社会主義共和国で 1987年 ― 2007年カンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞したルーマニアの作品『4ヶ月、3週と2日』(クリスティアン・ムンジウ監督)を観ました。女性ならタイトルだけでわかるショッキングな内容の映画です。 ルーマニア社会主義共和国の元首として国家評議会議長、大統領を歴任したニコラエ・チャウシェスク独裁時代(1967~1989年)、国家によるコントロールは、政治や経済、思想、教育はもちろん、性(妊娠・中絶)に至る個人生活にまで及びました。 とくに45歳までの女性は、4人の子どもを産むまで中絶してはならないとし、14~15歳の中学生にも出産が奨励されました(政令770号)。これは、国家の労働力を確保するために2300万人の人口を3000万人まで増やすことを目的とした政策でした。違法中絶には厳しい刑罰が科せられ、コンドームも店頭か