草枕の冒頭の文章は有名でよく引用されますが、人生論などを人に説く立場の人が引用するのみで、一般の人、特に若い人が日常会話で使用することは考えられません。 冒頭の文章で漱石は「知、情、意」を分かりやすく且つ彼一流のユーモアで説明しています。こんなことを気にせずもっと自由気ままに生きたいものだが、現実にはそうもいかない。この世は住みにくいところだと嘆いているようです。 「情に棹さす」と言う表現は江戸時代から明治時代の人々ならだれでも理解出来たと思われます。昔の川舟は帆やオール(櫂)を使わず竹で出来た棹を操って船を進めていました。(現在でも観光地で見かけます)人間の情(感情)はコントロールすべきですが、自分のこと、家族のこと、仲間のことなどになると、うまく感情コントロールが出来なくなり、急流にもかかわらず棹を川底に強く突き刺して船を前へ進めたかのように、流されてしまって事態が悪くなり勝ちだと言っ