沼崎一郎氏による『「ジェンダー論」の教え方ガイド』(フェミックス)は、フェミニズム系ミニコミ誌のWe連載時 たまたま自分の文章が掲載されたため、一定の期間送られてきたので、目を通していたときがあった。そのころからいろいろ疑問を感じる面があった。本が発売されてから一年がたってしまい遅くなってしまったが、とくにこの本を使って授業や講座が行われたりする可能性や、ネットに批判的感想があまりアップされていない現状を考え、やはり私が感じた問題点については書き留めておきたいと思う。 私自身も女性学、ジェンダー関係の講座を教えてきている。沼崎氏と専門分野は同じ文化人類学だ。この本は沼崎氏の女子大での授業の様子を記しているが、「ジェンダー論」というタイトルの講座にありがちな、「ジェンダーとは何ぞや」といった抽象論からではなく、具体的に学生の日常にかかわる問題を扱うという姿勢には共感する。 だがこの点を除き、