実務競争法研究会 監修:東京大学教授 白石忠志 編者:籔内俊輔 弁護士/池田毅 弁護士/秋葉健志 弁護士 本稿は、実務競争法研究会における執筆者の報告内容を基にしています。記事の最後に白石忠志教授のコメントを掲載しています。 同研究会の概要、参加申込についてはホームページをご覧ください。 本稿では、クアルコム事件(以下「本事件」という)を題材として取り上げる。本事件は、公取委が、自ら出した排除措置命令に係る判断を覆すに至った珍しいケースである。基本情報は以下のとおりである。 被疑事業者:クアルコム・インコーポレイテッド(米国法人) 関係規定:独禁法19条・旧一般指定13項(拘束条件付取引) 排除措置命令:公取委排除措置命令平成21年9月28日・平成21年(措)第22号 審判請求日:平成21年11月24日 審決:公取委審決平成31年3月13日・平成22年(判)第1号 本稿では、公取委の判断が