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野田努に関するtxmx5のブックマーク (92)

  • Emeralds | ele-king

  • Hi Tech | ele-king

    いまさら言うことでもないが、90年代とはじつに狂った時代で、ぼくはダンスの現場で何度も何度も衝撃を受けている。たとえば1992年のロンドンのジャングル、1993年のブリクストンでのジェフ・ミルズ、こうしたパーティではDJ/音楽もさることながら、集まっている人間たちの身体から吹き出る大量の汗と、なかば常軌を逸したパワーというかほとばしるエネルギーというか、その場全体の何もかもがぶっ飛び過ぎていた。で、えー、それから、フライヤーなしのイリーガルなレイヴ・パーティ(倉庫でも、あるいは野外でも)とか、ここでは書きたくない驚倒した経験がいくつもある。自分で言うのもなんだけど、そんな経験豊富なぼくにとって、とくに仰天したほどの経験が何だったかと言えば、1997年9月にマイク・バンクスの案内で侵入した、デトロイト市内のゲットーテックのパーティだった。 いや、あれを「経験」とは言えないな。どんなに狂ってい

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  • Mary Halvorson | ele-king

    ぼくぐらいの世代、ないしはそれ以降の雑性リスナーになると、だいたい若い頃にいちどは阿部薫にハマって、で、ジャズをもっと聴きたいと追求している過程においてアンソニー・ブラクストンの『フォー・アルト』に行き着いたりする。1969年に発表されたそのアルバムは、初めて聴いたときは雷に打たれたような衝撃を受けるもので、まずは壮絶なテクニックとその表現力に圧倒され、そして“ジョン・ケージへ”や“セシル・テイラーへ”といった象徴的な曲名に好奇心がかき立てられもする。歴史的に言えば、そもそも伴奏無しのサックス1による演奏のみでアルバムを作ってしまうという思い切った試みはこれが最初なのだ。しかし、『フォー・アルト』は感性に身をゆだねて生まれた感覚的な音楽ではない。ブラクストンは理論家で、彼の演奏には彼のシステム論的な根拠がある。 シカゴのサウスサイド(ハウスやフットワークの故郷でもある)に生まれ、AAC

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  • Negativland | ele-king

    みなさんは音楽にうんざりすることは、ないだろうか。定額制の配信が音楽リスニングのスタンダードとなって、いつでもなんでも気になった音楽が好きなように聴ける状態にあり、だからつねに満腹で、もう欲がないのに関わらず音楽は溢れている。で、気がついたら嘔吐寸前。サイモン・レイノルズが『レトロマニア』のなかで分析したように、音楽は時間的な制約を受ける芸術体験ではなくなり、いわば液化し、一時停止や保存などの非連続性に対して致命的に弱い連続的な供給物となった。ビル・ドラモンドが「音楽を聴かない日」というイヴェントをやる意味はじゅうぶんにある。 2014年にU2がiTunes上でアルバム『Songs of Innocence』の無料ダウンロード展開をしたとき、当たり前の話、この人道主義のバンドに興味のないユーザーからヒンシュクをかっているが、じっさい、商品と広告が一体となった新手の販売戦略は欧米では議論の

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  • Dean Blunt | ele-king

    年末年始は、子が実家へとさっさと帰るので、ひとりでいる時間が多く持てることが嬉しい。当は、ひとりでいる時間を幸せに感じるなんてこと自体が幸せで贅沢なことなのだろう。そんなことを思ってはいけないのかもしれないが、年末年始、僕は刹那的なその幸せを満喫したいと思って、実際にそうした。 たいしたことをするわけではない。ひたすら、自分が好きなレコードやCDを聴いているだけ。聴き忘れていた音楽を聴いたり、子がいたら聴かないような音楽を楽しんだり、しばらく聴いていなかった音楽を久しぶりに聴くと自分がどう感じるのかを試したり。もちろん片手にはビール。お腹がすいたら料理したり。たまにベランダに出たり。たまに読書をしたり。たまにネットを見たり。寝る時間も惜しんでひとりの時間を満喫した。 そんな風に、ひたすら音楽を聴いているなかで、僕はディーン・ブランドの新作を気に入ってしまった。 最初に聴いたときは、こ

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  • Aya | ele-king

    むむむ、これはひょっとしたら新章のはじまりかもしれない。とはいえ、その萌芽は1980年代のレーガン政権下にまで遡る。ダナ・ハラウェイという学者は現実社会がリアルであると同時に政治的なフィクションでもあるように、「女性の経験」もまたファクトでもありフィクションでもあるという意味において政治的に意義深く、そして彼女はフェミニズムを論ずるうえで、機械(サイバネティクス)と生物(オーガニズム)のハイブリッドである“サイボーグ”というタームをメタファーに使った。それからおよそ35年後の今日、女性自らが描くマシナリーかつオーガニックなヴィジョンは、じっさいのところもう何も珍しくなくなっている。 そこでマンチェスターのアヤ・シンクレア(※それまでLOFT名義で活動)による鮮烈なデビュー・アルバム『Im Hole』だが、まさにこれこそサイボーグのためのサイボーグによる音楽などとついつい喩えたくなってしまう

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  • talking about Hyperdub | ele-king

    ──アヤ、ロレイン・ジェイムス、〈ハイパーダブ〉について語りましょう 対談:高橋勇人 × 野田努 (構成:渡部政浩) Photo by Suleika Müller Feb 11,2022 UP 123 2021年のエレクトロニック・ミュージックにおいて、こと複数のメディアで総合的に評価の高かった2枚に、アヤの『im hole』とロレイン・ジェイムスの『Reflection』があり、ほかにもティルザの『Colourgrade』とか、えー、ほかにもスペース・アフリカの『Honest Labour』もいろんなところで評価されていましたよね。まあ、とにかくいろいろあるなかで、やはりアヤとロレイン・ジェイムスのアルバムは突出していたと思います。この2枚は、ベース・ミュージックの新たな展開において、10年代のアルカそしてソフィーといった先駆者の流れを引き寄せながら発展させたものとしての関心を高めてい

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  • Can | ele-king

    「クラウトロックという言葉は使わないで欲しい」——これがダニエル・ミラーからの唯一の要望だった。いまから2年ほど前、日でのCANの再発に併せてライナー執筆および別冊を作る際に、全カタログをライセンス契約しているロンドンの〈ミュート〉レーベルの創始者は、イギリス人によるドイツ人への侮蔑と悪意がまったくなかったとは言いがたいこのタームを使うことに物言いをつけたのだった。 このタームには、もうひとつの問題がある。たとえばクラフトワークとアモン・デュールを同じ括りでまとめてしまうことは、ボブ・ディランもガンズ・アンド・ローゼズも同じアメリカン・ロックと束ねてしまうことのように、作品性を鑑みれば決して適切な要約とは言えない。しかしまあ、70年代の日のメディアでは、ジャーマン・ロックという、だだっぴろい意味を持つ言葉を使って区分けされていたわけで、そのことを思えばジュリアン・コープが普及させたこの

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  • Kendrick Lamar | ele-king

    Top Dawg Entertainment /Interscope Records/ユニバーサル 野田努 Sep 21,2022 UP はっきりさせておきたい。私たちがラッパーに求めるのは、政治的な一貫性、明快さ、方向性、指示などではなく、むしろ肌の色を超えたアメリカの日常生活の当たり前の泡沫の表面に、目に見える分裂病の亀裂を生み出している精神的圧力の質なのだ。 ——グレッグ・テイト BLM熱の余韻がまだ残る昨年の7月、『The New Yorker』に掲載されたイシュメール・リードの長いインタヴュー記事において、彼は現代の反レイシズムを「新しいヨガ」と、反骨とユーモアの作家に相応しい言葉で揶揄している。1938年生まれ、マルコムXにインタヴューしたことで60年代はNYに移住、しかしブラック・ナショナリズムともブラック・アーツ・ムーヴメントとも袂を分かち、黒人男性は暴君だというステレオ

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  • Mr Fingers | ele-king

    2012年を振り返ったときに、「ハウス・ミュージックへの回帰」というのがひとつあると思った。メインストリームではザ・XXの『コエグジスト』がそうだったし、大物プロデューサーとなったフィリップ・ズダールの手がけたカインドネスにもそのセンスはうかがえる。アンダーグラウンドではジョイ・オービソンとボディカが新世代の感覚でハウスの再解釈を試みている。もうすぐ〈ニンジャ・チューン〉からリリースされるフォルティDLの3枚目のアルバムにも、UKガラージを通過したハウス感覚が良く出ている。また、LAの〈ノット・ノット・ファン〉周辺は相変わらず90年代のハウスにハマっているようだし......。 UKガラージがハウスへと回帰することに僕は最初は複雑な気持ちを抱いていたが、考えてみれば好ましく思えるフシもある。ハウス・ミュージックは周知のようにゲイ文化から生まれていることもあって、色気、エロティシズム、女性的

    Mr Fingers | ele-king
  • Riki Hidaka + Jim O' Rourke + Eiko IshibashiI | ele-king

    日高理樹(リキ・ヒダカ)は、彼の音楽がそうであるように、生粋のボヘミアンなのだろう。いまの日では絶滅に近い、社会の規範に囚われることがないいわば自由人。いったい彼は何のために音楽を作っているのだろうか。崩壊したフォークソング、解体されたギター、無調と調性とを超えた響き、アマチュアリズムと実験……。 ぼくが彼の音楽を初めて聴いたのは2016年の『Abandoned Like Old Memories』だったが、当時もいまも、彼はエスタブリッシュな音楽シーンにはいない。それはこの世界の秘密の入り口から下っていく地下室においてのみ演奏され、そこに遙々やって来た者たちのみが耳にすることができると、まあそんなところだ。 しかしながら彼の彷徨にも、どうやら拠点と呼べる場所があるらしい。2005年10月に広島の中区にオープンしたレコード店〈Stereo Records〉である。LAで生まれ東京で育ち、

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  • Tyler, the Creator | ele-king

    Home > Reviews > Album Reviews > Tyler, the Creator- Call Me If You Get Lost いま現在もしジョイ・ディヴィジョンという名前のバンドがデビューしたら、どんなことになるのだろうか。1979年に彼らが登場したとき、ほとんどの人はこのバンドがナチのシンパだとは思わなかった。スージー・スーは鉤十字の腕章をしたために殴打されもしたが、メディアもファンも彼女をファシストだとは思いもしなかった。が、21世紀のいま同じことをしたらそうはいかないだろう。SNSを使ってコールアウトされるばかりか、ヘタしたらそれは拡散の娯楽(ヴァイラル・エンタテインメント)と化し、公的な屈辱(パブリック・シェイム)を味わい、そしてキャンセルされ、一生を台なしにされるかもしれない。時代は変わった。21世紀の現代ではチャールズ・ブコウスキーも昔のようには読め

    Tyler, the Creator | ele-king
  • 2021年7月26日 | ele-king

    ここ10日ほどずっと気が重いのは、もちろん小山田圭吾について考えているからだ。そもそもオリンピック開催に反対のぼくが、小山田圭吾がそれに関与したということに失意を覚えないはずがなく、また、問題となった二誌の記事の内容に関しても、一次資料に当たったわけでないが、ネットで明らかになっている部分だけ見ても擁護しようがない。自分自身のふがいなさも痛感している。音楽シーンにはぼくのようにROとQJを読まない人だっているわけだし、ぼくの仕事は人格をチェックすることではない。とはいえコーネリアスの特集号を2冊も作っているのだから、これらの記事に目を通し、これはいったい何だったのかを人に問い、語らせるべきだった。下調べが徹底していなかったという批判はあって然るべきだ。 ぼくが小山田圭吾と初めて会話したのは、1999年のたしか夏も終わりの頃だったと思う。きっかけは『ファンタズマ』だ。エレクトロニック・ミュ

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  • Various | ele-king

    なにも知らずにこのコンピレーションを聴いたら、どう感じるのだろうか......。ベッドルームで作られたローファイ・ソウル? ドリーミーで、ちょっとドラッギーでソウルフルなザ・フライング・リザーズ? これは......シカゴ・ハウスやデトロイト・テクノが生まれる前の、1970年代なかばから80年代初頭の忘却の記録。 スライ&ザ・ファミリー・ストーンの1971年のマスターピース『暴動(There's a Riot Goin' On)』には、スライ自身によるドラムマシン(リズムボックス)の重ね録りによるビート――麻薬的で、陶酔的なビート――が注がれていることは有名な話だが、〈チョコレート・インダスリーズ〉(1990年代後半から2000代にかけてアブストラクト・ヒップホップの拠点でもあったシカゴのレーベル)が発表する『パーソナル・スペース』、17曲からなるこのアンソロジーは、そうしたドラムマシンや

  • Sound Patrol | ele-king

  • R.I.P. Yoshi Wada | ele-king

    去る5月18日、ヨシ・ワダとして知られる作曲家が77歳で永眠した。1945年生まれのヨシ・ワダ(名・和田義正)の格的な音楽活動は、京都の芸術大学卒業後の1960年代の後半、ニューヨークでフルクサスと関わったことにはじまっている。ワダはラ・モンテ・ヤングに共鳴し、そしてヤング&マリアン・ザジーラの作品で知られるプラン・ナートに作曲を学んだ。 ミニマル/ドローン・ミュージックの始祖のひとりであるワダは、70年代には配管工の仕事をしながらその仕事で手に入れたオブジェを楽器に改造して使用していたという。その後もアメリカに在住し活動を続けていたためか、日には多くの情報が入ってこなかったようだが、〈FMP〉や〈EM Records〉、東京の〈Edition Omega Point〉などといったレーベルから作品を出している。 また、2000年代からは息子であるTashiとのコラボレーションもやって

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  • interview with Sons Of Kemet | ele-king

    音楽を聴いて、音楽の力ゆえにどこか異世界に連れていかれることはままある。しかし、なかには魔力めいた音楽が稀にあり、それは幻想や幻覚ないしは音楽の麻酔的な効果などという生やさしいものではなく、リスナーに得も言われぬエクスペリエンス=経験をもたらす。サンズ・オブ・ケメットの新作が引き起こすそれは、ふだんのぼくには馴染みのないこの地球上の文化の断片が描く広大な空間──黒い宇宙のなかにおいて成就される。シャバカ・ハッチングスという、いまもっとも重要なジャズ・ミュージシャンがカリブ海の旋律とリズム──キューバからプエルト・リコ、トリニダードなど多様なその音楽の海──を調査し、同時にUKの移民文化から来ている猛烈なダンス・ミュージック=グライムの奥深くに連なるアクセントを吟味したうえで創造したその音楽は、先進国づらしながら難民の人権さえも軽視する国で暮らしているぼくにはなかなか出会うことのない輝きをお

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  • Black Midi | ele-king

    SNS時代では、好きなことを好きなようにやることがますます難しくなっているのだろう。もはや自分が何を好きなのかさえもわからなくなっているのかもしれない。とにかく、不特定多数の誰かに自分がどう見られるのか、市場やメディアでの自分の見せ方ばかりを気にしているミュージシャンやライターを見るにつけ、当につまらない連中だなと思う反面、大衆自らが監視装置になっている現在のディストピアにぞっとする。 しかし、絶望的なこのがんじがらめから脱出するには、ひとつ方法がある。誰になんと思われようと知ったことではない、好きなことを好きなように情熱をもって徹底的にやり抜く。ブラック・ミディというロンドンの若き4人組のロック・バンドはまさにそれをやった。 彼らの音楽にはトレンドらしきものなどない。ラップもダンスもドラッグも恋愛もない。パンク版キング・クリムゾン? XTC風のキャプテン・ビーフハート? ときにボアダム

    Black Midi | ele-king
  • R.I.P. Milford Graves | ele-king

    ジャズ・ドラマーのミルフォード・グレイヴスが去る2月12日、難病の心疾患のために亡くなった。没年79歳。 グレイヴスは、フリー・ジャズにおいてもっとも際立ったドラマーだったのだろう。ぼくよりもひと世代上の、音楽(ことジャズ)に特別な思いを馳せている人たちはほとんどみんなグレイヴスが好きだった。間章や竹田賢一のような人たちの文章を読んでいたし、ぼくは松岡正剛さんからも話をされたことがあった。そう、だから1993年のたしか初夏だったと記憶している。土取利行が企画したライヴ公演に行かない理由はなかった。 もうひとつぼくには特別な理由があった。その年、ぼくは20代最後の1年を、大袈裟に言えば24時間テクノを聴いているような生活を送っていた。隔月で海外に行くような生活だったし、雨だろうが雪だろうが毎週末をクラブで過ごし、文字通り、寝る間も惜しんで聴いていたのではないだろうか。石野卓球との『テクノボン

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  • クラフトワークはなぜ偉大なのか? 音楽史を塗り替えた「ロボット」の功績 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)

    クラフトワークの共同創設者、フローリアン・シュナイダーが2020年4月21日に73歳で亡くなった。ドイツが生んだテクノのパイオニアは、後世のポップミュージックにどんな影響をもたらしたのか? ele-king編集長の野田努が解説する。 ※この記事は『CROSSBEAT』2013年6月号に掲載されたものです。 ※2024年2月9日追記:クラフトワークがFUJI ROCK FESTIVAL'24に出演決定。詳細は記事末尾にて 「ロボット」という永遠のコンセプト そのときの衝撃は、30年以上経ったいまでも鮮明に覚えている。僕は中学生で、ラジオで初めてクラフトワークを聴いた。「Showroom Dummies」という曲だった。到底、この世界の音楽とは思えなかった。いままで聴いたことのない何かに感じた。その翌年、『The Man-Machine』が発売された。僕が最初に買ったクラフトワークのアルバムだ

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