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ブックマーク / blog.tinect.jp (262)

  • 妊婦が仕事を辞めるのは「しかたないこと」

    えー、この度、妊娠しました。 ……改めて書くとちょっと気恥ずかしいが、とりあえずいま妊娠5か月である。 でさ、妊娠してからすごく気になってることがあるんだけど、ちょっと聞いていいですか? 「仕事育児の両立」の話は延々とするのに、「妊娠中の仕事」については不自然なくらいスルーされてるのはなんで? 育児の前段階には絶対に「妊娠」があるのに、「妊婦が働き続けられる環境」の話をしないのはなんで? つわりで寝込んでるわたしでも、企業勤めを続けられますか? 妊婦って、まじで毎日体調悪いんですよ。なんの不調もない健康な状態ってどんなんだったっけ?って思うくらい。 もちろん妊娠といっても人それぞれ、あくまで「わたしの場合は」という但し書きがつくんだけど。 わたしはフリーランスだから働けるときに働くスタイルで、幸いクライアントに迷惑をかけずに仕事を続けられている。締め切りに余裕がある仕事しか受けてなかった

    妊婦が仕事を辞めるのは「しかたないこと」
  • ロールモデル不在のなかで、私たちはどう年を取っていくべきか

    最近、ある人と「中年危機」の話をする機会があった。 「最近、中年危機の話をよく見かけますね」 「phaさんの『パーティーが終わって、中年が始まる』がヒットした影響じゃないですか」 「まあでも、年の取り方については割り切ったつもりでも、なかなか割り切れないですね」 個人のレベルでは、年の取り方をスムーズにし、中年危機を回避する方法は色々と思いつく。 けれども社会全体の話として考える場合、私たちの世代には私たちの世代ならではの年の取り方の難しいポイントもある。そうしたことについて、この文章では指摘してみたい。 ロールモデル不在のなかでどうエイジングしていくか 現代日の・私たちの世代ならではのエイジングの問題点、ひいては中年危機への対策の話として意外に馬鹿にならない盲点は、 《ロールモデルの不在》 だと私は考えている。 中年危機という言葉が生み出されたのは日ではなく、アメリカだ。まず、そのア

    ロールモデル不在のなかで、私たちはどう年を取っていくべきか
  • 20万円でも人は死ぬ

    ここに人がある。ひとりであって、仲間もなく、子もなく、兄弟もない。それでも彼の労苦は窮まりなく、その目は富に飽くことがない。また彼は言わない、「わたしはだれのために労するのか、どうして自分を楽しませないのか」と。これもまた空であって、苦しいわざである。 ふたりはひとりにまさる。彼らはその労苦によって良い報いを得るからである。 すなわち彼らが倒れる時には、そのひとりがその友を助け起す。しかしひとりであって、その倒れる時、これを助け起す者のない者はわざわいである。 「伝道の書‬ 4‬:8‬-10‬」 親会社から見放されたその後 おれの勤める零細企業は、親会社から見放された。そのことは前に書いた。 「手取り19万円の栄光の終わりに」 その後、どうなったのか。親会社は我が社に対する2,000万円くらいの負債をチャラにしてくれた。チャラにしてくれた分、それに消費税がかかり、意外なところから困ることに

    20万円でも人は死ぬ
  • 人と話すとMP削れていく人のための、「人付き合い」ルール。

    「人付き合いが得意です」という方は、どの程度いるでしょう。 個人的には、 「何を話したらいいかよくわからない」 「人と話すと消耗する」 という気持ちはよくわかります。 ところで先日、シロクマ先生が、次のような記事を書いていました。 結局、人と話すとMPは増えるか、減るか ・人と話すと精神力(MP)が増えるか減るかは、話す内容。状況によって左右される ・もちろん、その人の性質や気質によっても左右される ・体力によっても左右される。その体力の一番無難な回復法は「休息」 この投稿の中で気になったのは、冒頭で引用されていた、以下のツイートです。 多分人と話すとMPが回復していく生き物と、人と話すとMP削れていく生き物は根的に分かり合えないのだと思う。 — 前島賢(大樹連司) (@MAEZIMAS) August 30, 2024 「人と過ごすのが大好き」な人たちを見ると、確かに「別の人種だなあ」

    人と話すとMP削れていく人のための、「人付き合い」ルール。
  • 「生成AIを使いこんでいる人」だけが知っていること

    最近は生成AIも一通り新発表ラッシュが終わり、ChatGPTが登場した直後の「熱狂」は一通り収まってきたように感じる。 おそらく現在は 「ちょっと触ってみて、すごいと思ったけど、あまり実用性を感じられなくて、今はたまに使うくらい」 という人が多いのではないかと思う。 いわゆる「失望の谷」に入った状態だ。 なぜ生成AIは「失望の谷」に入ったのか。 その原因は明らかで、生成AIを使って、自分が狙っているクオリティの成果品を出すのが難しいし、プロンプトを考えるのが面倒からだ。 例えば、こんな状況を想像してほしい。 朝出勤してきて、最初に 「昨日一緒に飲みに行った、お客さんの部長さんに「お礼」のメールを書きたい」 とする。 多くの方が想像する通り、お礼のメールは結構書くのが面倒だ。 そこで、「生成AIを使ってみよう」と、次のようなプロンプトをChatGPTに打ち込むとどうなるか。 昨日一緒に飲みに

    「生成AIを使いこんでいる人」だけが知っていること
  • 出生前診断によって子に障害が見つかった場合、これを堕胎する自由があるのか。

    「内なる優生思想」とわたし たいへんむずかしくて、結論の出ない問題について語りたいと思う。「内なる優生思想」についてだ。 「内なる優生思想」については、今までもいくらか興味を持って、などを読んでは思うところも述べてきた。 たとえば、『リベラル優生主義と正義』というでは、旧来の優生思想から、今後の人類の優生思想、たとえば病気や障害を避けるばかりではなく、エンハンスメントするようになったらどうなるのかといった問題まで語られていた。 人が子を残すとはなんぞや? 『リベラル優生主義と正義』を読む – 関内関外日記 リベラル優生主義と正義 で、このごろ、森岡正博の『生命学に何ができるか 脳死・フェミニズム・優生思想』というを読んでいたら1970年代の日における議論について詳しい話が載っていた。また、あらためて考えてみたいと思った。 生命学に何ができるか: 脳死・フェミニズム・優生思想 そもそ

    出生前診断によって子に障害が見つかった場合、これを堕胎する自由があるのか。
  • 「オタク」大衆化の歴史と、その条件について調べてみた。

    30年ほど前、オタクは、「キモくて不気味でコミュニケーションできない人々」とみなされていた。 しかし今日ではそうではない。オタクという言葉は“推し”という言葉と同じぐらいカジュアル化し、要するに、誰でもオタクと名乗れるようになった。 それで救われた人もいるし、かえって救われなかった人、誰でも名乗れるようになったオタクを名乗りづらくなった人もいるように思う。今日は、そんなオタクという言葉の過去と現在について振り返ってみたい。 はじめに「オタクは異端である」という宣告があった オタクの過去を振り返る際のスタート地点をどこに置くのかは、論評の性質によって早くなることも遅くなることもある。 論では、さしあたり1983年から話を始めたい。1980年代の段階でオタクはすでに存在していて、当時は「おたく」と平仮名で書くのが一般的だった。 では、その1983年に何が起こったか。オタクに宣告が下されたので

    「オタク」大衆化の歴史と、その条件について調べてみた。
  • ほとんどの人は建設的な議論ができない

    議論とは何か。 日国語大辞典によれば、「互いに、自己の意見を述べ、論じ合うこと。意見を戦わせること。」 と定義されている。 ビジネスにおいては、もう少し拡張してもいいかもしれない。 意見を戦わせる目的は2つある。 一つは 「意見を戦わせることで、どの意見が優れているか(正しいか)、判定すること」 そしてもう一つは 「意見を戦わせることで、よりよい意見を生み出すこと」 この2つを目的とした議論を、「建設的な議論」と呼ぶことにする。 ほとんどの人は建設的な議論ができない しかし。 私は様々な会社で議論を見聞きしてきたが、「建設的な議論」ができる人はそれほど多くない。 組織内における議論のほとんどは、「自分の地位を上げること」と、「相手を貶めること」に使われてしまうからだ。 議論の目的が「意見」を出したり、質を高めることではなく、人の評判を操作するだけに使われる状況。 これが「不毛な議論」だ。

    ほとんどの人は建設的な議論ができない
  • 中年が人生に輝きを取り戻す、唯一のコツ

    むかし、「35歳を過ぎると、急に頑張らなくなる」という話を書きました。 「中年の危機」です。 なぜ35歳を超えると頑張らなくなるのか。それはロールプレイングゲームの終盤と同じだから。 私の世代であれば、ドラゴンクエストや、ファイナルファンタジーといったRPGに熱中した方も多いだろう。 だが、私は「最後までやりきったゲーム」が異常に少ない。 なぜなら、いつもラストダンジョンになると、やる気を失ってしまうからだ。 序盤はとても面白い。自分が強くなる実感が得られるし、新しい世界が次々に広がっていく。 ところが、中盤を経て、終盤になると、とたんにゲームはつまらなくなる。 作業的なレベル上げ。 探検しつくされた世界。 有り余るお金。 そうだ。 操作するキャラクターは強くなっているはずなのに、そこには「可能性」が無くなっているのである。 キャラクターが育ち、謎がとけ、世界の広がる可能性だ。 「可能性」

    中年が人生に輝きを取り戻す、唯一のコツ
  • 2000年前のキケロ「老年論」に驚かされるばかりだった。

    ある日おれは、図書館でキェルケゴールとキケロのを借りた。なんの意図もない。なんとなく「き」が気になったからだ。そういう日もある。 キケロの名前は聞いたことがあるだけで、何時代の何人かも知らなかった。 マルクス・トゥッリウス・キケロ – Wikipedia マルクス・トゥッリウス・キケロ(ラテン語: Marcus Tullius Cicero, 紀元前106年1月3日- 紀元前43年12月7日)は、共和政ローマ末期の政治家、弁護士、文筆家、哲学者である。 そうか、そんな時代の人だったか。おれは大学受験のために中学から世界史を優先して学ばされていたが(公立校の人は日史に時間をとっているため、受験のときにライバルが少ないはず、という学校の方針)、なるほど三十年も経つとなにも覚えていない。 いずれにせよ、紀元前の人物だ。そのころ、日人はなにをしていたのだろうか。こういう疑問をいだいたとき、お

    2000年前のキケロ「老年論」に驚かされるばかりだった。
  • うまく騙されないように、人の思考のクセを知っておこう。

    人には、どの人にもある「思考のクセ」が存在しています。 そうしたクセは、普段あまり意識されることはありませんが、「知っている」人は、それを良くも悪くも「実態を隠す技術」や「他人を操作する技術」として使うことがあります。 例えば、「アンカー効果」として知られている思考のクセがあります。 これは「予測を立てる直前に見た数字をアンカー(よりどころ)にしやすい」という傾向です。 当然これは、金儲けにも利用できます。 数年前、アイオワ州スーシティーのスーパーマーケットがキャンベル・スープのセールを行い、定価から約一〇%引きで販売した。数日間は「お一人様12個まで」の張り紙が出され、残り数日間は「お一人何個でもどうぞ」の張り紙に変わった。 すると、制限されていた日の平均購入数は七缶で、制限なしの日の二倍に達したのである。 ファスト&スロー (上) このように、心理に関する知識は、成果を大きく左右するこ

    うまく騙されないように、人の思考のクセを知っておこう。
  • 生涯で一番重要なアニメをひとつ挙げろ、と言われたら『新世紀エヴァンゲリオン』を挙げるしかない。

    生涯で一番重要なアニメをひとつ挙げろ、と言われたら『新世紀エヴァンゲリオン』を挙げるしかない。 私が精神科医になった動機の約20%は、この作品に感化されたせいだ。感化され過ぎたせいで、「『新世紀エヴァンゲリオン』についてレビューをまとめなさい」と言われたら今でもまとめる自信がない。 しかし、『新世紀エヴァンゲリオン』に含まれていた心理学っぽさや精神分析っぽさを振り返ることはできる。 同作品は90年代の心理学ブームやメンタルクリニックブームを踏まえていて、同時代性が強い。だから『新世紀エヴァンゲリオン』を振り返ると、当時のそうした目線を思い出すことにもなる。 90年代は「モノより心」の時代 はじめに、90年代のメンタルヘルスを巡る雰囲気について思い出してみよう。 80年代から引き続いて、90年代は精神医療語り・心理学語りがとても流行っていた。「日人は物質的には豊かになったが、心はまだまだ貧

    生涯で一番重要なアニメをひとつ挙げろ、と言われたら『新世紀エヴァンゲリオン』を挙げるしかない。
  • 問題解決は、「発見・認識」「調査・解析」「解決」の三つのステージに分けて考える。

    先日、安達さんが書かれたこちらの記事を拝読しました。 「問題解決能力」とは、具体的にどのような能力なのか。 問題解決能力というのは、外資系コンサルタントのイメージに代表されるような「洗練された能力」ではない。 物事をとにかく前に進めるために、手をひたすら動かす、泥臭い能力であり、「自分で決めること」を要求される能力なのだ。 安達さんはいいことをおっしゃっているなあと思いましたし、頷きながら読んだ部分もあるのですが、技術畑の人間としては若干違った側面で捉えた部分もありました。 で、既に当然の前提になっているだろう部分も含めて、改めて一から自分の言葉で「問題解決能力」というものについて書いてみたくなりました。 まず最初に話を整理しましょう。 これは一般的に言ってしまっていいと思うのですが、「問題解決」とか「課題解決」という行為は、ざっくり三つのステージに分かれます。 つまり、「発見・認識」「調

    問題解決は、「発見・認識」「調査・解析」「解決」の三つのステージに分けて考える。
  • 書かせると、仕事の能力がすぐにわかる

    昔、面接官をやっていた時のこと。 我々は「どうすればコンサルタントの適性を持つ人材を集められるか」を追求していた。 長くても30分ほどの面接で、適切に候補者の選別を行うこと。 それは、「面接官の思いつきの質問」をするだけでは非常に難しかった。 我々は面接のやり方を試行錯誤した結果、「書かせること」で、かなり正確に候補者の能力を選別できることに気づいた。 一般的には面接では「話してもらうこと」を中心にすることが多いと思う。 が、我々はその場で「書いてもらう」ことにした。 * そのやり方は、以下のようなものであった。 まず、お題を出す。 多くは現場の状況を切り取ったもので、次のような趣旨のこと書かれたいくつかの「資料」と「質問」を渡す。 背景 オーガニックカフェ「ナチュラルテイスト」は、都市部で成功を収めている小規模カフェチェーンです。(財務諸表・組織図・現状調査表は別添資料)新鮮で健康的な

    書かせると、仕事の能力がすぐにわかる
  • おれたち日本人には「信仰」がわかるのだろうか?

    して、おれが読んだドーキンスは1941年に生まれて、おれが読んだのは『さらば、神よ 科学こそが道を作る』というを書いたのは2019年のことである。ベストセラーとして知られるのは『神は妄想である』で、こちらは2007年だった。 では、『さらば、神よ』はどんななのか。原題は『Outgrowing God A Beginner’s Guide』だ。 要するに無神論の入門書というか、青少年向けに書かれたといってよい。ティーンエイジャー向けというか。 これを読んでおれは驚いた。リチャード・ドーキンス級の人が、今、この時代に、英語圏、キリスト教圏の国の若者に、こんなものを書かなければならないほどなのか。やはり欧米の信仰心というものはそんなに根強いのか、と。 アメリカの信仰心 もっとも、たとえばアメリカではキリスト教離れが進んでいるという話もある。 米国でキリスト教離れが止まらない、教会の閉鎖も急

    おれたち日本人には「信仰」がわかるのだろうか?
  • すべてのおっさんの心に「自分だって若い女性にモテてもいいじゃないのか」という気持ちはないだろうか。

    ホーム > すべてのおっさんの心に「自分だって若い女性にモテてもいいじゃないのか」という気持ちはないだろうか。 りりちゃんのマニュアル 少し前に「頂き女子りりちゃん」が話題になった。この世の中には頂き女子というものがいて、頂けられてしまう「おぢ」がいるということだった。 正直、おれはあまりこの事件に興味をもっていなかった。おれには関わりのなさ過ぎる世界の話だからだ。しかし、ふと、次の記事を読んでしまった。 名古屋「22歳頂き女子」にだまされたおじさん2人が特別対談「僕らがバカだった。若い女子がおじさんとの“餃子の王将デート”を喜ぶはずがない」 なんととくべつな対談なのだろうか。おれは夢中になって読んでしまった。 そして、「りりちゃん」のマニュアルを読みたくなった。マニュアルくらいにしては判決が重いな、と思ったような気がしたし、どんな内容なのだろう。もちろん、マニュアルだけの罪ではないが。

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  • DoCoMoの25周年スペシャルムービーを見ると凄まじく感情が動くので書き殴ってしまった

    いまから7年前の2017年、とんでもないCMが世に放たれたことを皆さんはご存知だろうか。 DoCoMo25周年スペシャルムービーCM「いつかあたりまえになることを」。 このCMは4分にもおよぶ長さのためTVCMというより、もはやショートムービーなのだけど、とにかく破壊力が高いのでまずはしっかりと見てほしい。 なにこれ。 おそらく、この動画を見終わって、多くの人がこんな状態に陥ったんじゃないだろうか。 なんかしらんけど泣ける。 ただ、そこにあるのはあまりに複雑な感情なはずだ。 ありきたりで分かりやすいそれと違って、心の奥底がザワザワするような、敏感な場所を得体のしれないもので撫でられているような、まるでどこかで自分が経験したかのような、そんな感覚が生じているのだ。 もちろん、そうでない人もいるのだろうけど、それを言い出すと話が始まらないので、みんなそうなったと思い込んで話を進めていく。 感情

    DoCoMoの25周年スペシャルムービーを見ると凄まじく感情が動くので書き殴ってしまった
  • 「言い方がキツイ人」は、いったい何を考えているのか。

    「悪い人ではないんだろうけど、言葉選びが下手だなぁ」 わたしはAさんに対して、ときおりこう思っていた。 Aさんの考え方自体がおかしいわけではないのだが、なんだか癪に障る言い方が多いのだ。 なぜこの人はこんなにも言葉選びが下手なんだろうと不思議だったが、最近その理由がわかった。 彼は言葉選びが下手なんじゃない。単純に、「自分の言い分は正しいのだから、それを理解できない相手が悪い」と考えていたのだ。 かつてのわたしのように。 「言葉を選んで伝える」という発想がないAさん あるとき、数人で出身地の話をしていたときのこと。 Bさんが、Aさんの出身地を勘違いをしていた。 「Aさんって、沖縄出身だったよね?」 「いや、ちがうけど」 「あれ、沖縄って言ってたと思ったんだけどな」 「いやいや、沖縄出身なんて一切言ってないし」 「あー、ごめん。言ってたと思ったんだけど、だれかと勘違いしたのかも」 「思い込み

    「言い方がキツイ人」は、いったい何を考えているのか。
  • 手取り19万円の栄光の終わりに

    舵のない舟 かくて早くも彼の心は、洗練された隠遁の地、心地よき無人の境、人間的愚かさの絶えざる氾濫を遠く逃れた、びくとも動かぬ、なまぬるい方舟を夢みつつあった。 ユイスマンス『さかしま』 思えばおれの人生というのは舵のない舟に乗って川を流れてきただけだ。みすぼらしい帆や、壊れかけのエンジンはついていたかもしれない。ただ、流れてくるように、流れてきた。 おれは人生に興味がなかった。正確にいえばおれはおれの人生に興味がなかった。明日、どうしよう。五年後、どうしよう。大人になったら、どうしよう。なに一つ向き合ってこなかった。 親だとか誰かだとかにいわれるがままに、適当に流れてきた。意思というものがなかった。 べつに親だとか誰かだとかを信じていていたとか、そんな話もない。自分は確固たる意思をもって、意思を持たずに生きてきた。 人生の岐路に立って自分で道を選んだという覚えもなければ、なにごとかに目覚

    手取り19万円の栄光の終わりに
  • 「ゲーメスト」でハガキ職人を目指す過程で知った、人に読ませる文章を書くことのむずかしさ

    「雑誌の投稿コーナーに載る為に必死に文章を練習して、他人に読んでもらう文章を書くことの困難さに気付いた人」というのがどれくらいいるのか分かりませんが、私はその中の一人です。 この記事で書きたいことは、大体以下のような内容です。 ・昔、「ゲーメスト」という超面白いゲーム雑誌がありました ・読者投稿コーナーに掲載される為、いわゆるハガキ職人を目指して頑張っていました ・全然載らなかった為、兄に頼み込んで投稿内容を添削してもらいました ・その時の兄の言葉で、「文章というものは、書いた人が読む時と他人が読む時で全く違うものになる」ということに気づきました ・兄に添削してもらうようになってめでたく投稿コーナーへの掲載の夢が叶い、以来文章を書き続けています ・載らなくても載らなくても全く飽きずに投稿し続けた、という諦めの悪さも、一つの資質だったのかも知れません ・どんな文章であれ、「レビュー」「壁打

    「ゲーメスト」でハガキ職人を目指す過程で知った、人に読ませる文章を書くことのむずかしさ