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ブックマーク / realsound.jp (605)

  • GEZAN マヒトゥ・ザ・ピーポーが語る、“0と100の間の世界”への関心「曖昧なものを掬い取りたい」

    GEZAN マヒトゥ・ザ・ピーポーが語る、“0と100の間の世界”への関心「曖昧なものを掬い取りたい」 メンバーチェンジを経て、2年ぶりとなるニューアルバム『Silence Will Speak』を完成させたGEZAN。レコーディングエンジニアにスティーヴ・アルビニを迎え、シカゴにある彼のエレクトリカル・オーディオ・スタジオで制作された作は、これまでとは一線を画す新たな響きと衝動に駆り立てられたオルタナティブロックが詰め込まれた1枚だ。今回リアルサウンドでは、マヒトゥ・ザ・ピーポー(Vo&Gu)にインタビュー。アルバムの制作についてはもちろん、楽曲にも反映されている価値観や思想の変化についても聞いた。(編集部) 「生まれてきた時代を間違えてきた」と言われる(笑) 一一先日のライブ(9月13日、新代田FEVER『on tabuz nine』出演:クリトリック・リス、THE NOVEMBER

    GEZAN マヒトゥ・ザ・ピーポーが語る、“0と100の間の世界”への関心「曖昧なものを掬い取りたい」
  • ラップはすべてスマホのスピーカーから鳴っていた 磯部涼が『フロリダ・プロジェクト』を解説

    『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』で使われるたくさんのラップ・ミュージックは、すべてスマートフォンのスピーカーから鳴っていた。 2017年に発表されたショーン・ベイカー監督作品『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』はタイトルの通り、アメリカのフロリダ州を舞台にしている。北米大陸の東南端、メキシコ湾と大西洋に向かって突き出した、温暖な気候のこの半島について、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートやマイアミ・ビーチ等を擁するいわゆるリゾート地という印象を持っているひとも多いだろう。また、集まってくるのは観光客だけでなく、カリブ諸島とラテン・アメリカに面した同地はアメリカ有数の移民社会としても知られている。対して、キューバの刑務所からマイアミへと渡ってきたトニー・モンタナが、コカインの売買で成功、やがて破滅していく様を描いたギャング映画の古典『スカーフェイス』(監督:ブライアン・デ・パルマ

    ラップはすべてスマホのスピーカーから鳴っていた 磯部涼が『フロリダ・プロジェクト』を解説
  • butajiが潜在的に持つ表現力ーーゲストに七尾旅人を迎えたTSUTAYA O-nest公演

    シンガーソングライターのbutajiが、8月29日に渋谷・TSUTAYA O-nestにて『「告白」リリースパーティー』を開催した。ゲストには、butajiが事あるたびに敬愛するアーティストとして名を上げていた七尾旅人が出演。七尾もまた、『告白』に数パターンのユニークなコメントを寄せており、互いに敬愛し合う2人の共演が実現した。 公演でのbutajiのライブは、バンドセットによるパフォーマンスだ。メンバーとして、ギターに樺山太地(Taiko Super Kicks)、ベースに山慶幸(トリプルファイヤー)、キーボードに坂口光央、ドラムに岸田佳也という強力なメンツが揃った。1曲目「I LOVE YOU」では、山と岸田による芯のある硬質なリズム隊の上をジャジーな坂口のピアノが舞う。さらに、切り込むように樺山の先鋭的なギターが入り、深みのあるサウンドを展開していった。続いてスローなテンポで始

    butajiが潜在的に持つ表現力ーーゲストに七尾旅人を迎えたTSUTAYA O-nest公演
  • 日本のアニメはなぜフルCGを忌避し“ハイブリッド”な画面づくりを続ける? その理由を読み解く

    細田守監督による『未来のミライ』の見どころになっていたのが、悪夢的な「未来の東京駅」のシーンだった。ここでは、ほとんどのビジュアルが3次元コンピューター・グラフィックス(3DCG)によって構築されているのだという。だが主役である4歳児など、あくまで主要なキャラクターは、従来のように手描きによる2Dで表現されている。このような手法はとくに珍しいものとはいえないだろう。ここ10数年、2Dと3DCGを組み合わせる“ハイブリッド”な画面づくりが、日の劇場アニメーションにおける主流の表現となっているのだ。 ディズニー/ピクサーに代表されるように、大規模なアニメーション制作の潮流は、世界的にいまや3DCGに傾き、キャラクターを含め、すべてをCGで描く「フルCG」作品が増え続けている。たしかに日でも、TVアニメを中心にフルCGが増えており、『GODZILLA 怪獣惑星』や『ニンジャバットマン』など、

    日本のアニメはなぜフルCGを忌避し“ハイブリッド”な画面づくりを続ける? その理由を読み解く
  • 『J・ディラと《ドーナツ》のビート革命』訳者・吉田雅史に聞く、ヒップホップ批評の新たな手法

    もしあなたがヒップホップのビートについて思いを巡らせたことがあるなら、2006年に発表されたJ・ディラのアルバム『Donuts』が特別な作品であることに疑いはないだろう。ジャンルを問わずあらゆる音源からサンプリングし、その手法の可能性を最大限に引き出すテクニック、あえてクォンタイズをかけないことで生まれる絶妙にヨレたビート、溢れるほどのアイデアの中に滲み出る深い音楽愛、そして迫り来る死の匂いーーアルバムを通して聴けば、彼がどれほどの時間=人生をビートメイクに捧げてきたのかが自ずと伝わり、その深遠なクリエイティビティに触れることができるはずだ。同時に、リリース直後の同年2月に32歳の若さでこの世を去った天才ビートメイカーが、なぜ最後に病床でこれほど挑戦的なアルバムを作ろうとしたのか、多くの謎を投げかけてくる作品でもある。 ジョーダン・ファーガソン『J・ディラと《ドーナツ》のビート革命』(DU

    『J・ディラと《ドーナツ》のビート革命』訳者・吉田雅史に聞く、ヒップホップ批評の新たな手法
  • 歪んだ心にグサリと刺さる 『勝手にふるえてろ』が描くリアルすぎる“こじらせ女子”

    キラキラしている“あの子たち”と同じ写真アプリを使っても、人生までは加工することはできない。たとえ制服を脱ぎ去ったとしても、青春の歪み(ゆがみ)は、なぜか一生付きまとってくるのだ。 左から、“イチ"とヨシカと“ニ" (c)2017映画「勝手にふるえてろ」製作委員会 現在公開中の映画『勝手にふるえてろ』は、松岡茉優演じる24歳の“こじらせ女子”ヨシカが、中学時代から10年間脳内で片思いを続けている“イチ”(北村匠海)と、ヨシカに猛烈アタックを仕掛ける会社の同期“ニ”(渡辺大知)との間で揺れるという恋愛コメディー。“イチ”と結ばれれば願いは叶うが「嫌われたらどうしよう」という不安がおまけで付いてきて、“ニ”と付き合えば毎日楽しいだろうがヨシカの10年間が無駄になってしまう。理想と現実の選択にもがき苦しむ喪女(もじょ)をリアルに描いた作品だ。 ヨシカの学生時代は華やかとは程遠い。休み時間でも机で

    歪んだ心にグサリと刺さる 『勝手にふるえてろ』が描くリアルすぎる“こじらせ女子”
  • 韓国大衆歌謡からBTSまで……K-POPの誕生と発展にJ-POPが与えた影響

    BTSの躍進を例に挙げるまでもなく、いまや名実ともに世界的なジャンルとなったK-POP。金成玟『K-POP 新感覚のメディア』(岩波新書)は、その歴史を、音楽性はもちろん、韓国内外の社会情勢やメディア環境の変化を追いながら紐解いた一冊だ。 『K-POP 新感覚のメディア』(岩波新書) 書の魅力は、議論の射程の広さだ。K-POPファンにとっても、あるいは音楽をはじめとするポップカルチャー一般を愛する人々にとっても、興味深いテーマが詰まっている。韓国大衆歌謡の成り立ちから始まり、BTS、TWICE、EXO、BLACKPINKといった最新のアクトまでを押さえた記述は見事。また、K-POPの形成と発展、そして受容を通じて、日米韓の複雑な関係性を浮かび上がらせた読み物としても面白い。 前述のとおり、書ではさまざまなトピックが取り上げられている。ここでピックアップしたいのは、J-POPとK-POP

    韓国大衆歌謡からBTSまで……K-POPの誕生と発展にJ-POPが与えた影響
  • KREVAが語る、『存在感』の制作背景とヒップホップのこれから「しっかり点を打ちたい」

    KREVAが5曲入りの新作『存在感』を8月22日にリリースする。表題曲は、ダークでメランコリックなトラックに乗せて〈存在感はある でも決定打が出ていないような気がした〉とギクリとするようなフレーズをラップする一曲。緊迫感あるビートに乗せて〈結局やっぱり 最後は健康〉と繰り返す「健康」も、胸がザワザワするような印象を強く残す。メタファーでもテクニックでもなく「それを言っちゃうんだ」というストレートなワンフレーズを放り込んでくる作品だ。 制作の背景を聞いたインタビュー。「初めて音楽おもしろくなくなった」というエピソードから、KREVAが考えるトラックメイキングや音選びの極意まで、語ってもらった。(柴那典) 新しいルールでやったら、おもしろがりながら曲ができた ーーすごくいい驚きのある作品でした。 KREVA:そうですか、ありがとうございます。 ーーそもそも去年はレーベル移籍を経て久々のソロア

    KREVAが語る、『存在感』の制作背景とヒップホップのこれから「しっかり点を打ちたい」
  • 新たな“現代西部劇”創出の予感 『ウインド・リバー』が描く苦痛に満ちた西部史

    『ウインド・リバー』というきわめて地味な、だが孤高の美しさと悲しみをたたえたこの聡明なアメリカ映画は、現代にはたして西部劇は成立可能なのかについて、大きな問いを投げかける。そしてワイオミング州のネイティヴアメリカン保留地ウインド・リバーを舞台とする犯罪ミステリーでありつつ、現代においても西部劇は成立するのだと無言のうちに宣言する。いや、今日にふさわしい「現代西部劇」の樹立を宣言しているのだ。そして皮肉なことに、ワイオミングという辺境の州は、マイケル・チミノ監督『天国の門』(1980)の舞台となった土地ーーつまりその超大作の興行的失敗をもって、アメリカ映画史において事実上、西部劇が滅んだ不吉な土地ーーなのである。 周知のごとく、アメリカ合衆国史はインディアン(ネイティヴアメリカン)討伐の歴史であり、土地簒奪の歴史だ。映画ジャンルとしての西部劇は、開拓時代を題材とする壮烈かつ勧善懲悪の時代活劇

    新たな“現代西部劇”創出の予感 『ウインド・リバー』が描く苦痛に満ちた西部史
  • Zeebra×鹿野 淳のヒップホップ×ロック対談 Creepy Nutsとの出会いやシーンでの存在感語る

    R-指定とDJ松永によるヒップホップユニット・Creepy Nutsのインディーズ時代の楽曲を網羅したアルバム『INDIES COMPLETE』が7月25日に発売された。リアルサウンドではリリースを記念し、Creepy Nutsの活躍をインディーズ時代から見届けてきた人々へのインタビューを2回に分けて公開する。1回目のhime(lyrical school)に続き登場するのは、Zeebraと音楽ジャーナリストの鹿野 淳。両者が考えるCreepy Nutsの魅力や存在感とともに、ヒップホップとロック、時代の流れとともに変化するそれぞれのシーンについても語ってもらった。聞き手は高木 "JET" 晋一郎氏。(編集部) 人間性と違いない音楽を作っていると思った(Zeebra) ーーこの対談はZeebraさんと鹿野さんの対談形式で進められればと思うのですが、まずその前提として、お二人がCreepy

    Zeebra×鹿野 淳のヒップホップ×ロック対談 Creepy Nutsとの出会いやシーンでの存在感語る
  • 『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』は、まごうことなき“おじさん映画”の傑作だ!

    私がおじさんになっても、カッコよく撮れるの? 肉体美はとても無理よ、若い子には負けるわ……。森高千里の名曲「わたしがオバさんになっても」の一節が、一部のみ「おじさん」となって脳裏をよぎった。何の話か? トム・クルーズの話である。 「ハンサム」トム・クルーズは、そんな少し古い表現が似合う。青春スターとして登場した80年代、演技派の名声を得た90年代、色んな意味で激動のゼロ年代を経て、今や御年56歳。年齢だけで言うなら、立派な「おじさん」である。そんなトムクルさんの最新作は、脅威と狂気のアクション超大作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』。この映画は「やれんのか!」というアントニオ猪木的な魂の叫びが響き渡る、おじさん映画の傑作である。いわばトムクルさんからの激励だ。 大人気スパイ映画シリーズの最新作だが、既に各所で話題になっているように、作最大の魅力はトムクルさんの肉体酷使である。

    『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』は、まごうことなき“おじさん映画”の傑作だ!
  • 小西康陽の語り尽くせない作家性 『素晴らしいアイデア』を聴いて

    ピチカート・ファイヴ「東京は夜の七時」、慎吾ママ「慎吾ママのおはロック」、深田恭子「キミノヒトミニコイシテル」、Negicco「アイドルばかり聴かないで」、そして、新しい地図「72」。小西康陽という名前を知らなくても、これらの楽曲はそれなりに浸透しているといえるのではないだろうか。けっして大ヒットメーカーでもないし、プロデューサーとして大物を育て上げたわけでもない。しかし、彼が関わる楽曲はどこか記憶に残るものが多いし、音楽マニアを唸らせる仕掛けが隠されている。 先日、『素晴らしいアイデア 小西康陽の仕事 1986-2018』が発売された。これは、小西がこれまでに作詞、作曲、編曲などで関わった楽曲の中から90曲を厳選し、CD5枚に収めた作品集だ。いかに30余年に渡ってこれほどまでに質が高く、バラエティに富んだ音楽を作り続けてきたのかがよくわかるボックスセットである。ここには彼が中心メンバーと

    小西康陽の語り尽くせない作家性 『素晴らしいアイデア』を聴いて
    txmx5
    txmx5 2018/08/05
  • 菊地成孔の『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』評:ミレニアム・ファルコンに乗り遅れた者共よ萌えているか?

    菊地成孔の『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』評:ミレニアム・ファルコンに乗り遅れた者共よ萌えているか? 乗り遅れた船 / 残されたインポテンツ 筆者はミレニアム・ファルコン乗り遅れ組だ。同様の、同世代の男性(女性差別ではない。当時の話である。当時、クリーチャーやガジェットがたくさん出てくるスペースオペラというのは、基的には女性が観るものではなかった)は多数いると思う。なんとか途中乗車しようとして、やはり乗り切れなかった者も、思いがけない駅で綺麗に乗れた者も。 いかなネット上とはいえ、批評の誌面に於いて、個人的な回想を素材にするのは私的な倫理に反するのだが、今回ばかりは一般性が高いと判断し、そのまま続けさせて頂くことをどうかご了承いただきたい。ハードSFもスペースオペラも当然のように愛好していた13歳の中学生(現在55歳)にとって、キネマ旬報に、「宇宙戦争」という逐語訳のタイトル

    菊地成孔の『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』評:ミレニアム・ファルコンに乗り遅れた者共よ萌えているか?
  • ドラマ『この世界の片隅に』は作り手の本気度が伝わる圧巻の出来栄え アニメ映画版と明確な違いも

    前情報をほとんど入れずに、こうの史代の原作と2016年に公開された(今でもロングラン公開中というのだから驚きだ)片渕須直監督が手がけたアニメ映画版の知識だけをもって観たとしても、7月15日から始まったTBS系列日曜劇場『この世界の片隅に』は、作り手の気度が伝わってくる圧巻の出来栄えだ。 あえて現代パートを導入させることで、単に戦時下の物語だと落とし込まないあたりは、テレビドラマというメディアの持つリアルタイム性を存分に活かしていると見受けられる。さらに、アニメ映画版と比較されることが避けては通れない中で、今回のドラマ版ではひとつひとつのエピソードのディテールをさらに深く描きこみ、より一層ヒューマンドラマ色を強めてきた印象だ。 冒頭の広島の街でさりげなく映る「産業奨励館」、主人公・すずが幼少期に遭遇する座敷わらしの正体を早々に明かし、すずの夫となる周作の視点も織り交ぜる。第1話で描かれたの

    ドラマ『この世界の片隅に』は作り手の本気度が伝わる圧巻の出来栄え アニメ映画版と明確な違いも
  • 『ハン・ソロ』なぜ賛否渦巻く結果に? 良い面と悪い面から考える、その魅力と問題点

    相棒の“チューバッカ”とともに「銀河一」と豪語する高速の宇宙船「ミレニアム・ファルコン」を駆り、レーザー光線を発射する銃「ブラスター」を巧みに操って、ならず者や帝国軍と渡り合う“運び屋”。皮肉屋だが情に厚い、ハンサムなアウトロー。ハリソン・フォード演じる“ハン・ソロ”は、『スター・ウォーズ』旧三部作で最も愛されているキャラクターの一人だ。そんなハン・ソロを主人公にして、彼がルーク・スカイウォーカーに出会う前の、若かりし頃の物語を描くのが、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』である。 ディズニーによる、この『スター・ウォーズ』のスピンオフ企画第2作は、アメリカでは興行収入の面で芳しい成績を収められなかった。『スター・ウォーズ』の権利を取得して以降、爆発的なヒットの連続でビジネスを継続していきたいと考えていたディズニーの経営陣にとっては、苦々しい結果となっている。その一方で、一部では作

    『ハン・ソロ』なぜ賛否渦巻く結果に? 良い面と悪い面から考える、その魅力と問題点
  • 宇多田ヒカルが語る、“二度目の初恋” 「すべての物事は始まりでもあり終わりでもある」

    今年、デビュー20周年イヤーに突入した宇多田ヒカルが、通算7枚目となるオリジナルアルバム『初恋』をリリースする。 これは彼女のディスコグラフィにおいて、初の日語を冠したアルバムタイトルであり、今なお愛聴されている、1999年の彼女の1stアルバム『First Love』を想起させるタイトルでもある。 急逝した実母に捧げられた前作『Fantôme』から1年9カ月。リアルサウンド二度目の登場となる今回のテキストでは、アルバム完成直後に行われたオフィシャルインタビューから、今作の制作風景や参加アーティストに特化した発言を中心に構成した。 前作から、さらには衝撃的だった1998年のデビュー時から今日までの間で、彼女の中で変わったこと/変わらないこととは何なのか。そして20周年というひとつの節目を、いまどのような心境で迎えているのか。 “二度目の初恋”を迎えた彼女に、現在の率直な思いを聞いた。(内

    宇多田ヒカルが語る、“二度目の初恋” 「すべての物事は始まりでもあり終わりでもある」
  • XXXTentacionは前向きに歩みを進めようとしていたーー若きラッパーが遺した作品の意義

    ーーどこかに、どこかにいるんだろ 自分の思いにとらわれちまってるんだ、ガール、何とか踏み止まろうとしてる 特別な存在のフリをするのは嫌だ、僕らは何者でもない ずっと君のことを考えちまう、もう我慢できないんだ (XXXTentacion「Jocelyn Flores」より) ※タイトルになったジョセリン・フローレスはXXXTentacionの友人であり、自殺を図り命を落とした。 既報の通りだが、現地時間の6月18日、ラッパーのXXXTentacion(XXXテンタシオン)が銃に撃たれて亡くなった。享年20歳だった。 現地メディアが伝える事件の概要は以下の通り。場所はフロリダ州南部のディアフィールド・ビーチ。テンタシオンは、バイクやヨットを販売するRIVAモータースポーツ店を出て自身の車であるBMWのi8に乗り込んだところを、何者かによって撃たれたと見られている。また、テンタシオンはモータース

    XXXTentacionは前向きに歩みを進めようとしていたーー若きラッパーが遺した作品の意義
  • 菊地成孔×小田朋美が語る、SPANK HAPPY再始動への道筋 「ODは最高のパートナー」

    菊地成孔の主宰レーベル<TABOO>のイベント『TABOO LABEL Presents GREAT HOLIDAY』(5月13日/新木場STUDIOCOAST)で約12年ぶりに再始動したSPANK HAPPY(Boss the NK a.k.a. 菊地成孔、OD a.k.a. 小田朋美)。新曲「夏の天才」(三越伊勢丹グループ「グローバル・グリーンキャンペーン」のキャンペーンソング)の配信に続き、フジロックフェスティバル出演、ワンマンライブの開催、さらにアルバムの制作も進行中と“第3期にして最後の”SPANK HAPPYへの期待が高まっている。 三越伊勢丹のキャンペーンソングとはいえ、シングル1曲と、15分間のエキジビジョン・ライブを行っただけで、インスタグラムのフォロワーが開設1カ月で2000人超えした<最終SPANK HAPPY>。彼らは約12年の休眠から醒めることに対し、何を考えてい

    菊地成孔×小田朋美が語る、SPANK HAPPY再始動への道筋 「ODは最高のパートナー」
  • 『レディ・バード』は愛があるからこそ羽ばたいた 『半分、青い。』にも通ずる母娘の複雑な関係

    ドラマ『13の理由』シーズン2で、自殺したハンナ(キャサリン・ラングフォード)の母オリヴィア(ケイト・ウォルシュ)が、生前の娘を褒めてあげられなかったことを後悔するシーンがある。ハンナがきれいに写った写真をオリヴィアは「この角度はよくない。それはいい、でもアゴが目立つ」とケチを付けながら眺め、「いいのよ全部消すから。一生写真には写らない」と浮かない顔で少々怒りを含みながらハンナは答える。 「親に認められたい」というのは子供なら誰しも抱える願望だが、親が素直に応えられないことで壁が生じるパターンもある。6月1日に公開された映画『レディ・バード』でも、がんじがらめになった母娘の姿が劇中で描かれていた。主人公クリスティン・マクファーソン(シアーシャ・ローナン )は、自分に“レディ・バード”と名付け、周りにもそう呼ばせている少し変わった17歳の少女。閉鎖的な田舎町サクラメントから、大都会ニューヨー

    『レディ・バード』は愛があるからこそ羽ばたいた 『半分、青い。』にも通ずる母娘の複雑な関係
  • リドリー・スコットがアメリカ映画を退廃させた? 荻野洋一の『ゲティ家の身代金』評

    監督デビュー前のゴダールは、批評家として週刊誌『アール』に次のように書いた。「イギリス映画についてなにか言うべきことを見つけ出すためには、まさに頭をひねらなければならない」。このゴダールの当惑(と、おそらくは不信感)は今日でも有効であるように思える。辛辣なゴダールはなおも続ける。「なぜなのかはわからない。しかし、事実そうなのだ。しかもこの規則には、この規則の正当性を証明するはずの例外さえもないのである」。多くの賛否両論に晒されてきた北東イングランド出身の映画作家リドリー・スコットを、讃嘆といささかの当惑をもって眺めてきた者からすると、最新作『ゲティ家の身代金』においてもなお、スクリーン上にただよう違和感の斑点がちらちらと視界をよぎってきて、映画でありながら映画から離反していく何かとしか言いようのない齟齬となっていく。 じつのところスコットが純粋にイギリスの作家であったのは、カンヌ国際映画

    リドリー・スコットがアメリカ映画を退廃させた? 荻野洋一の『ゲティ家の身代金』評