タグ

ブックマーク / d.hatena.ne.jp/tatsu2 (14)

  • 「境界の彼方」ストップモーション風アクションと機動力 - subculic

    2013年に放送されたアニメ『境界の彼方』には独創的なアクションがある。 多彩なバトルシーンが特徴の作にあって、異彩を放つストップモーション風の剣捌き。第2話で披露されたこのアクション、タメツメの効いたタイミングが爽快で影付けもスタイリッシュ。スピード感溢れる殺陣に仕上がっている。驚いたことに、原画マンのアドリブだというのだから衝撃的 *1 。コンテでは暗闇の中で閃光が走る一瞬の斬撃を狙った感じだったらしいが、担当したアニメーターの奔放な想像力とそれを形にする手腕によって見事に昇華されている。原画の枠を越え、演出的な回路で描かれた物のようにも思える濃密な仕事だ。 これを受けてだろう、第4話のアクションシーンにも同様の発想でストップモーションが使われていることに注目。 当初、2話と4話の演出を担当した武康弘がこのアクションを気に入り、コンテに描いていたのだろうと思っていた。しかしどうやら

    「境界の彼方」ストップモーション風アクションと機動力 - subculic
  • 話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選 - subculic

    年の瀬の恒例企画となったテレビアニメ話数別10選。一年を振り返りながら、今回は何度も観たくなる話数を中心にセレクト。 以下、コメント付きでリストアップ。基的に放送日順(最速放送日)で並べている。 ■『SHIROBAKO』 第23話「続・ちゃぶ台返し」 (3月19日放送) 脚/吉田玲子 絵コンテ/許蒴、菅沼芙実彦 演出/倉川英揚、太田知章 作画監督/大東百合恵、秋山有希、川面恒介、武田牧子、容洪、朱絃沰、西畑あゆみ 宮森あおいの「泣き」が話題をさらったシリーズの集大成。作中のカタルシスと現実のそれが入り交じり、相似形をとって一気に解放されるさまは爽快な感動があった。キャスト陣の熱演も光り、最後は西畑あゆみ、石井百合子による迫真の作画リレー。泣き作画の石井百合子、面目躍如の大活躍。 ■『血界戦線』 第5話「震撃の血槌」 (5月2日放送) 脚/古家和尚 絵コンテ/松理恵 演出/孫承希 作

  • 芝山努の仕事『ドラえもん』編に参加して - subculic

    「新文芸坐×アニメスタイル セレクションVol.37 芝山努の仕事『ドラえもん』編」に行ってきた。『ミニドラSOS』の記事を書いて以来、大長編ドラえもんを毎週借りてきては、思い出と照らし合わせながら観ていたのでタイミングの良いイベントだった。芝山努監督と渡辺歩さんが揃って登壇するイベントは、もしかしたら最後になるかもしれない予感もした。21時に寝て朝5時に起きる生活をしているという芝山努監督。一線を退いたあとにお目にかかれるとは、感動もひとしおで話された内容も「今、振り返るドラえもん」。ずっと覚えておきたい話がたくさんあった。まずは芝山努監督の絵コンテについて。渡辺歩さん曰く、「狂気さえ感じてしまう描き込み」で圧倒的な情報量を誇る芝山コンテ。当日上映された『ドラえもん のび太とふしぎ風使い』と『ドラえもん のび太のワンニャン時空伝』のコンテコピーが展示されていたが、クラっとしてしまった。コ

  • 「響け!ユーフォニアム」の生々しさ、その正体 - subculic

    アニメ放映終了後にまとめて読もうと思っていたが、我慢しきれず『響け!ユーフォニアム』の原作小説に手を出してしまった。アニメと比較しながら読み進めていくと、これが面白い。原作1巻を1クールかけてアニメ化しているのだから(正確には短編集の挿話も拾っている)当然かもしれないが、アニメを再び観直すと「これはオリジナルだったのか!」という描写が頻出し、膨らませているポイントの多さになかば感心してしまったほど。たとえば、第5話「ただいまフェスティバル」で印象的だった久美子と麗奈の帰り道(麗奈が髪をかき上げるあの場面)も追加されたエピソードだ。そもそも、原作の久美子は麗奈のことを最初から名前で呼んでいて、距離感に若干の違いがある。アニメは麗奈との関係性を強調するためだろう、少し“遠い”ところからスタートしている。その甲斐あって第8話で「麗奈」と名前を呼ぶ特別な儀式が生まれたわけだ。名字と名前、どちらで呼

  • 「響け!ユーフォニアム」8話の攻めっ気 - subculic

    あるクリエイターが頭角を現す瞬間というものが存在するとすれば、『響け!ユーフォニアム』第8話「おまつりトライアングル」はまさにそれを目撃した気分になった。絵コンテ/演出は藤田春香。アニメーターとしてのクレジットは見かけていたが、『中二病でも恋がしたい!戀』(2014年)で演出デビューした経歴からすると若手の方だろうか。ふと思い出したのは京都アニメーション出身の『アイドルマスター シンデレラガールズ』高雄統子監督が京アニ時代に担当したある話数だ。それは作画監督に堀口悠紀子を迎えた『CLANNAD』番外編「もうひとつの世界 智代編」(2008年)。堀口さんの繊細なアプローチに感じ入り、演出の契機になった話数だと後に語られている。事実、今観直すと剥き出しの高雄演出に唸る場面ばかり。「智代編」は高雄統子という演出家のキーエピソードといっていい。そうした例が頭に浮かび、「おまつりトライアングル」は藤

    「響け!ユーフォニアム」8話の攻めっ気 - subculic
  • 興津由佳にみる「SHIROBAKO」のキャラクター描写 - subculic

    万策尽きず、最終話も無事放映された『SHIROBAKO』。めでたしめでたし。そんな最終話で嬉しかったのは「興津さん」と皆から呼ばれている武蔵野アニメーションの総務・興津由佳が大活躍したことだ。彩り豊かな作の女性陣にあって個人的に一番注目していた興津さん。「残業をしない主義」「昔は制作だったらしい」など設定は散りばめられていたが、クリティカルなパーツを見せないキャラクターで、そこに興味の沸く“隙”があった。まず取り上げたいのは、興津さんのデスク周り。クールビューティな外見と事務的ではっきりとした言動は、シンプルで実用性重視の配置を想像させる。しかしよく観察してみると、ファンシーな小物が目を惹くチャーミングなデスク。「意外と可愛い一面を持つ」ことがデスク周りから伺えるのだ。ハート型のマウスパッドや花柄レースのコースターなど、こだわりの感じられる品がずらっと並ぶ。とりわけ目を惹くデスク右上に鎮

    興津由佳にみる「SHIROBAKO」のキャラクター描写 - subculic
  • 「SHIROBAKO」23話のラストシーンについて - subculic

    新人声優「ずかちゃん」こと坂木しずかにようやくスポットライトが当たった。『SHIROBAKO』第23話「続・ちゃぶだい返し」のラストシーンについて少し、書いておきたい。前回、しずかは自室で一人、テレビに出演しているフレッシュな声優をみながらビールをあおっていた。その様は胸に突き刺さり、痛々しかった。今回、まず憎い演出だなと思ったのは、キャサリンの妹・ルーシー役にしずかが選ばれるんじゃないかと視聴者に期待させている中、アルバイト先の居酒屋で映されるしずかのカットだ。静かに電話と取ったしずかの後ろは前回を引きずるように暗く、目の前は明るい。アフレコ現場にシーンを移す直前のこのカットは妙に引っ掛かった。どうして気になったかというと、23話のポイントは「誰と何を共有しているのか」だと思ったからだ。ラストシーンをみてみよう。宮森あおいは追加シーンのアフレコ現場に姿を現したしずかをみとめ、言葉にならな

    「SHIROBAKO」23話のラストシーンについて - subculic
    txmx5
    txmx5 2015/03/21
  • 「SHIROBAKO」の描く虚構と現実のバランス感覚 - subculic

    『SHIROBAKO』のバランス感覚にはいつも膝を打つ。「虚構と現実」のバランスだ。このテーマで馴染み深いのは今敏監督だろうか。混淆していく現実と夢の世界を精緻な筆致で描き、入れ子構造に収める独特の手法を用いていた。アニメーション制作にスポットを当てた『妄想代理人』第10話「マロミまどろみ」は、比較対象として興味深いエピソードだ。同じ題材を扱うにしても、今敏監督と水島努監督の「ブラックジョーク度合い」とでも称すればいいのか、明らかな違いがある。とはいえ、『SHIROBAKO』の構造は今敏監督の作風と似ている。修羅場続きで一寸先に落とし穴が待ち構えている現実、けれど夢を持ち続けたいアニメーション制作という場所へのこだわり、その交錯が見所。そんな作特有のバランスを支えているのは、隅々まで徹底して虚構と現実を対立させていること。主人公の宮森あおいを例にとってみよう。同期のタローこと高梨太郎と比

    「SHIROBAKO」の描く虚構と現実のバランス感覚 - subculic
  • 京都アニメーションはなぜ回すのか? 「さすがの猿飛」をみよ! - subculic

    最初に断っておくと、これはトンデモ理論の類かもしれない。資料も少なく、証言も取れていない。「もし、そうだったら面白いな」というレベルの小話だ。さて、つきましては京都アニメーション。よく回す。どうしてだか回転大好き。『けいおん!!』『日常』『中二病でも恋がしたい!戀』それぞれのオープニングで回しているし、『エンドレスエイト』でも回転のモチーフが取り入れられていた。主犯は取締役・石原立也。そこで下記の記事を参照して欲しい。「中二病でも恋がしたい!戀」OPの回転カット「だって昔のアニメとかって背景とかも、引いたりぐるぐる回したりとかしながらキャラクターがぐるぐる回り込みで走ったりしてましたよ」と石原さんは話されているが、これはいわゆる「作画回り込み」を指しているのだろう。「作画回り込み」とは、カメラワークに合わせて背景まですべて作画で描く高カロリーのアニメート(細かく分類すれば、全背動回り込みと

    京都アニメーションはなぜ回すのか? 「さすがの猿飛」をみよ! - subculic
  • 「SHIROBAKO」8話で使われた“煮詰まる”について - subculic

    井口さんも総作監の倫子はんも煮詰まるときはおんなじだって煮詰まるってのはさ、こうなってるんだよね。だから広い景色が必要なわけ新人原画マン・安原絵麻にアドバイスする先輩アニメーター・井口裕未が口にした「煮詰まる」というフレーズ。「行き詰まる」の誤用として使ってしまったのだろうか、と思った。しかし『SHIROBAKO』8話を再度視聴し、しばし思案。結果、様々な解釈が可能なとても面白い誤用の使い方ではないか。シリーズ構成,8話脚の横手美智子さんに一! と言いたくなる気分になった。それを説明していこう。井口裕未の使った「煮詰まる」は前後の文脈から判断して、来「行き詰まる」を当てた方がすっきりする場面だ。そこに敢えて、フックを作るため「煮詰まる」と言わせたのだとしたら何が見えてくるだろうか。参考リンク:議論が「煮詰まる」のは良いことか?いきなり話を引っくり返して申し訳ないが、上記リンク先の記事

    「SHIROBAKO」8話で使われた“煮詰まる”について - subculic
  • 「逆襲のシャア」とヘルメット - subculic

    今更と思われるかもしれないが、『逆襲のシャア』で気になる描写がある。それは「ヘルメット」に関してのもの。富野由悠季監督によって細かく指定されているのだと思うが、ヘルメットを脱いだり被ったりといった芝居が妙に多い。まず序盤にあたる小惑星5thルナの戦闘中、アムロはヘルメットを被っているが、シャアは被っていない。サザビーの頭部はシャアはヘルメットをイメージしたものだというのに、当のシャアは仮面を外した素顔を堂々と曝け出す。ヘルメットを被らなかったのはギュネイの援護が命であり、そもそも今のアムロに落とされるはずがないと考えていたからだろう。ファンネルを温存するなど、余裕が垣間見える。続くラー・カイラムに帰投したアムロと待っていたブライト。戦闘空域から帰ってきたばかりで、まだ張り詰めているアムロの厳しい心理をヘルメットを脱がないことで伝えている。月に向かうアムロが仮眠を取るシーンでは、わざわざヘ

    「逆襲のシャア」とヘルメット - subculic
  • subculic

    『魔法のスター マジカルエミ』最終回3部作はその名の通り、最終回を含めた36,37,38話のことだ。「少し手を加えてやれば一のフィルムになる」と安濃高志監督自ら話されているように、連続性を持っているところに特徴がある。今風に説明すれば、「マジカルエミの消失」を描いた3ということになるのかもしれない。物語は舞の心を静かに追い立てる。マジカルエミに変身して華麗なマジックで人々を魅了する一方、自分自身はまだまだマジックをうまく扱えないと自覚していた舞。そこへ飛び込んできた、エミリー賞という新設されたマジシャンコンテスト。嬉しいはずのエミリー賞の受賞を素直に喜べず、畳み掛けるようにマジカラットの解散宣言が出される。しかし拙くとも自分自身のマジックを練習した方が楽しいと気付き、「魔法を返す」という結論に至る過程を丹念に追っている。驚くのは、心情の捉え方だ。シリーズに「魔法はいつか返さなきゃいけな

    subculic
  • 「魔法少女まどか☆マギカ」の演出ガイド〜新房昭之の語った「シャフ度」 - subculic

    アニメーション4月5日より東京MXで再放送が始まるらしく、機会を逃していた『魔法少女まどか☆マギカ』のエントリーを書いておきます。魔法少女まどか☆マギカ The Beginning Story作者: ニュータイプ編集部,MagicaQuartet出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2011/12/10メディア: 単行購入: 4人 クリック: 50回この商品を含むブログ (21件) を見る関連書籍はたくさん出版されていますが、「魔法少女まどか☆マギカ The Beginning Story」は全話シナリオ収録、シナリオ0稿、絵コンテ解説、虚淵玄&新房昭之インタビューなどファン必携の書籍。注目記事ばかりの中、新房監督が「シャフ度」について語っている、非常に貴重なパートがある。来、人間の立ち姿って、真っ直ぐではないんですよ。左右どちらかの足に重心が傾くもので。

  • 契約者は煙草を吸わない〜「世界征服〜謀略のズヴィズダー〜」3話 - subculic

    何だか80〜90年代のOVAを観ているのかと錯覚する、懐かしい気分になってしまった。中毒を聖書になぞらえて語った『機動警察パトレイバー』の押井守脚回を思い出すブラック・コメディ。ユーモアたっぷりに「喫煙」する毒っ気は、さすが『最臭兵器』を監督した人間だと頷いてしまう。些細なことから、結果的に大規模な騒動に発展する押井守や大友克洋作品特有の「巻き込まれ感」が似ているのかもしれない。MEMORIES High Spec Edition [Blu-ray] by G-Tools『世界征服〜謀略のズヴィズダー〜』に至る以前、岡村天斎監督作品でタバコと言えば、MI6の凄腕エージェント・ノーベンバー11を置いて他にない。契約対価は「喫煙」だが、神経質なまでの嫌煙家という取り合わせは奇妙、しかし己の生き様を全うする『DARKER THAN BLACK』屈指の伊達男だった。企画書段階から死に方が決まっ

    契約者は煙草を吸わない〜「世界征服〜謀略のズヴィズダー〜」3話 - subculic
  • 1