今日、私が「日本ラカン協会」に招かれたのは、かつて「日本精神分析」という論文の中でラカンに言及したからだと思います。そこで私は、ラカンが日本について、特に、漢字の訓読みの問題について述べたことを引用しました。今日、それについて話すつもりなのですが、その前に少し経緯を説明させていただきます。「日本精神分析」という論文は一九九一年頃に書いたもので、「柄谷行人集第4巻」(岩波書店)に収録されています。これは『日本精神分析』(講談社学術文庫)と題する本とは別のものです。後者は2002年に書いたもので、この時点では、前に書いたものに嫌気がさした、というようなことを述べています。かつて「日本精神分析」を書いたとき、自分は日本人論、日本文化論を否定するつもりで書いたけど、結局その中に入るものでしかなかった、と。実際、それ以後、私は「日本論」について一切書いていません。だから、現在の気分としては、読み返す