子供や若者の甲状腺がんの早期発見は有害無益である 過剰診断問題について公正で開かれた議論を 髙野徹 りんくう総合医療センター甲状腺センター長/大阪大学特任講師 福島で「異常な事態」が起きている 福島では現在、300人もの子供や若者が甲状腺がんと診断されています。このような世代が甲状腺がんに罹ることは極めてまれであり、福島県の人口を考えれば異常事態であることに間違いありません。この事態にどう対応すべきなのでしょうか。 福島の子供たちに見つかっている甲状腺がんのほとんどすべてが、症状が出る前の小さな甲状腺がんが、いわばがん検診として実施された超音波検査を受けることでたまたま発見されたケースです。上記の問いの結論を出すためには、子供たちにがん検診として甲状腺超音波検査を受けさせることが良いことなのか否か、ということを知る必要があります。これからそのことを考えてみましょう。 がん検診が有効ながんと