新型コロナウイルスの世界的拡大と社会への深刻な影響によって、人々は科学的根拠に基づく政治決定の重要性を日々実感している。政治リーダーが入国制限や都市封鎖、学校閉鎖などの決定をする際、科学技術の専門家の助言は大きな判断根拠を与える。わが国の科学的助言体制は1970年ごろから公害、医薬品規制などの分野で整備されてきた。近年は国際的にも食品安全や地震予知問題、原発事故を契機に多くの国で助言組織が設置
![科学的な助言体制の点検急げ 有本建男氏 政策研究大学院大学 客員教授 - 日本経済新聞](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/8af878ae76fa61e1b32cd34b1fd217fd7b135e12/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Farticle-image-ix.nikkei.com%2Fhttps%253A%252F%252Fimgix-proxy.n8s.jp%252FDSXMZO5782210008042020KE8001-2.jpg%3Fixlib%3Djs-3.8.0%26auto%3Dformat%252Ccompress%26fit%3Dcrop%26bg%3DFFFFFF%26w%3D1200%26h%3D630%26s%3Dae75f9439fc845a9bcf085534bb38a2d)
紹介 「米軍基地引き取り運動」の口火を切った思想書・理論書『無意識の植民地主義』に、報道の責任・ヘイトスピーチ・県民投票の黙殺・沖縄人差別をめぐる増補と解説を加え復刊する。本書が示した「アイデンティティとポジショナリティ」、「劣等コンプレックス」、「被植民者の共犯化」、「沖縄ストーカー」、「観光テロリズム」といった概念は、いまなお日本人による沖縄人への暴力を読み解く鍵である。 日本人の植民地主義は今も続いている、いまだ決着はついていない。 目次 序章 「悪魔の島」から聴こえる他者の声、そして、日本人 1 他者の声 2 他者への欲望 3 自作自演 第1章 植民地主義は終わらない―日本人という植民者 1 はじめに 2 ポストコロニアリズムと日本人という植民者 3 民主主義的植民地主義 4 基地の押しつけという植民地主義 5 無意識の植民地主義 6 ポジショナリテイ 第2章 文化の爆弾 1 共犯
“聞く耳を持たない”人々 ハーバード大学で政治哲学を教えるマイケル・サンデル教授がアメリカ国内の政治論議の質の低下を憂慮している。そのなかでもサンデルがとりわけ問題視しているのが、公共の場における政治論議で「人の話を聞くスキル」がなくなっていることだ。 サンデルは2018年10月、米ミズーリ州のラジオ局「セントルイス・パブリック・ラジオ」の番組に出演し、こう語っている。 「本来、民主主義という自治の営みは、自分とは意見の異なる人を説得したり、自分とは意見の異なる人から説得されたりすることを抜きにはありえません。これが『熟議』というものだからです。市民同士が議論をして何が共通善なのかを見きわめるわけです。ところがここ数十年のアメリカ政治を見ると、真の意味での『熟議』や『説得』が抜け落ちています」 サンデルの指摘によれば、ブレット・カバノーの米連邦最高裁判事指名承認に関する公聴会でも、議論の目
京都大による調査決定について意見を述べる「満州第731部隊軍医将校の学位授与の検証を京大に求める会」のメンバーら=京都市左京区の京都大で2018年9月26日、菅沼舞撮影 旧日本軍731部隊の軍医が京都帝国大に申請した学位論文が人体実験をもとにした可能性がある問題で、京都大は26日、調査を始めると明らかにした。 論文はペスト媒介能力の研究で、動物を使い実験したように記されていたが、研究者有志らの「満州第731部隊軍医将校の学位授与の検証を京大に求める会」が「人体実験を…
東京電力福島第1原発事故から4年半。原発推進の利益集団として「原子力ムラ」と揶揄され、事故を防げなかった責任を問われた「日本原子力学会」は今、何を考え、何に取り組んでいるのか。会員約7400人、企業など賛助会員約230社を抱える専門家集団の動きは、今後の原子力の行く末を占う。9月中旬に静岡市で開かれた学会の定期大会に潜り込み、何が議論されているかを探ってみた。(原子力取材班) 「なぜ必要か説明を」 3日間にわたって開かれた定期大会のプログラムの中に、「あなたにとって原子力学会とは何か?」という興味深いテーマの会合があった。学会のあり方について会員相互の自由な意見を交換するという趣旨の会合だ。集まったのは50人程度。 趣旨説明があった後、年配の男性が口火を切った。 「学会というのは、この技術がいいと思って社会に貢献しようと思っている人の集まりだ。技術を推進するという意味で、理学部や文学部など
本年5月16日に、法政大学田中優子総長は、「自由で闊達な言論・表現空間を創造します」との題名で 以下のメッセージ(要旨)を公表しました。 (法政大学田中優子総長メッセージ抜粋) 昨今、専門的知見にもとづき社会的発言をおこなう本学の研究者たちに対する、検証や根拠の提示のない非難や、恫喝や圧力と受け取れる言動が度重ねて起きています。その中には、冷静に事実と向き合って社会を分析し、根拠にもとづいて対応策を吟味すべき立場にある国会議員による言動も含まれます。 日本は今、前代未聞の少子高齢化社会に向かっています。誰も経験したことのない変動を迎えるにあたって、専門家としての責任においてデータを集め、分析と検証を経て、積極的にその知見を表明し、世論の深化や社会の問題解決に寄与することは、研究者たるものの責任です。その責任を十全に果たすために、適切な反証なく圧力によって研究者のデータや言論をねじふせるよう
国の宗教法人審議会元会長で憲法学者の大石眞・京都大名誉教授らによる「国法と宗教法人の自治」をテーマにした研究が、宗教界に波紋を広げている。研究グループは宗教団体に教義や規則など内部文書の提供を求めたが、国の補助金を受け、宗教行政を所管する文化庁宗務課の職員も加わるなどしていたためだ。宗派を超えた京都の寺院でつくる京都仏教会が「国家権力が介入する道を開く」と反対を決議する事態になっている。 文部科学省などから2017~19年度、計663万円の科学研究費補助金を受ける「国法と宗教法人の自治規範との対立・調整に関する研究」。研究メンバーは憲法学者や社会学者ら6人で、文化庁宗務課職員も協力者として当初入っていた。
本学は、創立以来築いてきた自由の学風を継承し、地球社会の調和ある共存に貢献するため、研究の自由と自主を基礎に高い倫理性を備えた研究活動により、世界に卓越した知の創造を行うことを基本理念に掲げています。 本学において研究に従事する全ての者は、この基本理念のもと、主体的判断により行う研究活動とその成果が将来に亘り地球社会に与え得る影響を自覚しながら、高次の専門的能力と総合的視野をもって社会からの信頼と負託に応えてゆくことが求められます。 このことから、本学における研究活動は、社会の安寧と人類の幸福、平和へ貢献することを目的とするものであり、それらを脅かすことに繋がる軍事研究は、これを行わないこととします。 なお、個別の事案について判断が必要な場合は、総長が設置する常置の委員会において審議することとします。 国立大学法人京都大学
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本日、iPS細胞研究所における研究活動上の不正行為(捏造・改ざん)に係る調査結果について、記者会見を行いましたので、お知らせします。 このような、あってはならない事態が発生したことを真摯に重く受け止め、今後全学をあげて再発防止に取り組むとともに、教職員として不正行為および不適切な行為に対しては厳正に対処していきます。 調査結果の概要 京都大学における公正な研究活動の推進等に関する規程第9条1項及び京都大学における研究活動上の不正行為に関する調査要項第3条に基づく調査委員会を設置し、調査を実施した結果、通報対象論文において、不正行為(捏造・改ざん)が認められた。 詳細は以下をご参照ください。 調査結果報告 「京都大学における研究活動上の不正行為に係る調査結果について(概要)」 「論文不正に関するデータ解析の概要」 及び 「参考資料」 「本事案における再発防止策について」
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東京電力福島第一原発事故の政府事故調査・検証委員会で委員を務めた九州大教授の吉岡斉(よしおか・ひとし)さんが14日、肝神経内分泌腫瘍(しゅよう)で死去した。64歳だった。葬儀の日取りは未定。 科学技術史や原子力政策が専門で、内閣府原子力委員会専門委員などを歴任。脱原発社会へ向けた政策を提案するシンクタンク「原子力市民委員会」の座長だった。九州大では2010年4月~14年3月に副学長を務めた。
科学者の代表機関・日本学術会議が、軍事研究対策として、全国の大学が研究の適切さを審査する体制を設けているかなどを探る実態調査に乗り出す。 安倍政権は軍民両用研究の推進を掲げているが、年明けにもアンケートを実施し、各大学の対応状況を踏まえて、軍事研究の拡大を防ぐ新たな方向性を検討する。 防衛省や米軍資金などによる研究が国内の大学で広がっている実態を受けて、学術会議は今年3月、軍事研究に関する新たな声明を半世紀ぶりに決議。…
2017年12月16日付産経新聞朝刊に「広辞苑「台湾」表記に抗議 台北駐日経済文化代表処」と題した記事が掲載されました。 同記事は、小社刊行の辞典『広辞苑』に対して、「日中共同声明」の項目における「日本は中華人民共和国を唯一の正統政府と承認し、台湾がこれに帰属することを実質的に認め」という記述、また「中華人民共和国」の項目に付した地図に「台湾省」と記載していることが、事実に反する誤りであるため、諸団体から修正を求められていると述べています。 また同12月21日付毎日新聞夕刊に掲載された「広辞苑「台湾省」記載で対立」と題した記事においても、この問題が取り上げられています。 小社では、『広辞苑』のこれらの記述を誤りであるとは考えておりません。 中華人民共和国・中華民国はともに「一つの中国」を主張しており、一方、日本を含む各国は「一つの中国」論に異を唱えず、中華人民共和国または中華民国のいずれか
**【科学技術振興機構・研究開発戦略センター長 野依良治氏 ―ノーベル賞の日本人受賞が続きましたが、将来や若手研究者の育成が危ぶまれています。 「私が学生のころは貧乏で研究環境は本当に劣悪だった。欧米とはとても競争できなかった。分析機器は古く、化学反応の試薬は買えず、溶媒も自分で作った。だから独自のことをやらざるを得なかった。指導教員も実験の手ほどきはしても、研究自体は放任された。だからこそ自由があった」 「現在は研究環境が整い、世界と競争できるようになった。逆に言えば、若手は規格化された環境に拘束されている。未知に挑めば孤独になる。研究者を論文数や被引用数で評価する限り、若手は親元で既成分野の論文を量産する道を選んでしまう。評価指標に過剰に適応した結果、自力で戦えない人材を育てることになる。若手にとって自由が何より大事だ。新しい領域を拓くことこそが若手に課せられた義務だ」 ―若手の置かれ
ロシア革命から100年。労働者による革命で社会主義を打ち立てようというマルクスの思想が、ソ連という国家の形で実現し、世界は大きく揺さぶられた。だが、国際社会を二分する冷戦を経て、ソ連は1991年に消滅する。革命は世界をどう変えたのか。いま社会主義とは何か。日本共産党の不破哲三前議長に聞いた。 ――ロシア革命を今日、どう評価しますか。 「20世紀初頭は、資本主義が全世界を支配していた時代でした。その時、資本主義に代わる新しい社会を目指す革命がロシアで勝利した。マルクスの理論の中でしかなかった社会主義が現実化し、世界に大きな衝撃を与えたのです。社会党などがあった国では、左派が共産党に発展する。日本のように社会主義者はいるが、政党がなかった国にも共産党が生まれた。影響は世界に広がり、第2次大戦後には、中国やベトナムなどで革命が起きた」 「もうひとつ大事なことは、ロシア革命が起点となって、民主主義
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