UnicodeとCIDでは、一般にCIDのほうが細かい区別が可能だが、逆にCIDではUnicodeにおける区別が消える例も存在する。Unicodeでは、見た目で区別がつかない文字であっても、属性の違いによって区別して収録されている場合があるのに対して、Adobe-Japan1では、基本的に形でしか区別されないからである。 たとえばU+0060 GRAVE ACCENTとU+0300 COMBINING GRAVE ACCENTは、いずれも単独ではCID=65で描画されるが、アルファベットの母音の後ろに置いた場合の振る舞い(結合属性)が異なる(下図)。 このようなUnicodeの符号位置とCIDの1対n対応について、利用者は通常意識する必要がない。しかし、InDesignの字形パレットのようなCIDベースの入力ツールでは、1つのCIDに対応する複数の符号位置のうち、いずれか1つ(CID=65