今回は、ローカライズ作業の基礎となる翻訳について、少しお話をしてみたいと思います。すでに何度か言及したことのあるテーマではありますが、翻訳というものはなかなか一筋縄ではいかないものなのです。というのも、翻訳とは、一つの言葉を別の言葉に置き換えるだけの行為のことではないからです。 例えば小説の場合、その文章の中に起点言語(Source Language)の文化固有の単語や固有名詞が出てくることは少なくありません。映画も同様で、作品中に起点文化(Source Culture)に固有の映像が出てくることがあります。さらに複雑なケースとしては、「固有の文化に独特なものでなくとも、文化によって見方や捉え方が異なるもの」があるのです。特に暴力的、性的、宗教的な表現に関しては、文化によって考え方や価値観が大きく違ってきます。目標文化(Target Culture)で違和感・抵抗感などを与えないために、