‘23年12月4日(月) 「秩序か正義か、どちらか選べと いわれたら、私は秩序を取る」。 米国のキッシンジャー元国務長官の 言葉という。 その哲学は、故国ドイツで 少年時代に遭った自身らユダヤ系 への迫害が育んだとみる人は 少なくない ▼ユダヤ人を理由に少年たちに 袋叩(ふくろだた)きにされた。 ナチスの一団がユダヤ人を 罵(ののし)って通りを歩き、父は 教職を追われた ▼秩序が崩壊し、むき出しになった 憎悪と暴力。 キッシンジャー氏が15歳だった 1938年、一家は米国に逃れた (ウォルター・アイザックソン著、 別宮貞徳監訳 『キッシンジャー 世界をデザインした男』) ▼冷戦期の世界秩序安定を追求した 氏の訃報が伝えられた。 国交のない中国と秘密交渉を重ねて 72年のニクソン大統領訪中を 実現した。 ソ連にも接近。中ソ対立を利用し 米中ソ関係での優位確保を図った ▼ソ連外交官はキッシンジ