‘23年1月1日(日) (シカの被害を伝える記事である。) その獣は、夜の闇から忍び寄るように 現れる。 兵庫県香美町香住区余部の御崎地区。 日本海に突き出た岬の突端にある 人口40人の小さな集落に、 5、6年前からその獣が頻繁に出没する ようになった。 集落の外れの斜面に広がる サンショウ畑は戦後、養蚕に代わる 収入源として栽培が本格化。 日本料理に添える芽は、9割が 京都に出荷される。 その獣はサンショウの芽を好み、 木の皮まで剥がして食べる。 サンショウは新芽を摘んでも また芽吹くが、生産者が大切に育てる 二番芽や木の皮を食われると、 木全体が弱り、やがて枯れる。 高齢の生産者にとって、自宅から 遠い段々畑で柵や網を設置するのは 難しい。 「網を張っていない畑は全滅に近く、 高齢者は畑を諦めている」と、 香住野菜生産組合 山椒(さんしょう)部会の 岡田和(かなお)会長(69)。 相次