'19年3月25日(月) イチロー選手が渡米から 11シーズン余り在籍した マリナーズを去り、 ヤンキースへ移籍したのは 2012年夏だった。 10年連続200安打の記録を 残した球団の顔が定位置の 約束もない名門になぜ渡る のか。米球界の七不思議 として語られもした ▼当時のスポーツ紙に 載った、ヤンキースの ジラルディ監督の言葉が ある。 「彼はまだ野球を やり切っていない。 勝利に飢えている」。 イチロー選手が入団した 01年を最後に、 マリナーズは地区優勝も ない。振るわぬチームの 中で、打の妙技は孤影を 深めてさえいた ▼笛吹けど周りは踊らず、 引退会見で口にした 「孤独」は、外国人扱い される疎外感だけでは なかったろう。 むしろ常勝を課された ヤンキースで味わう 「クビになるんじゃないか」 という危機感は、飢えた イチロー選手にとって 本懐を果たす経験だった かもしれない ▼