‘24年7月16日(火) 「生きていかなくては いけないのね……。 働かなくてはいけないのね。 必要なのは、ひたすら 働くことだけ!」。 ロシアの作家、 アントン・チェーホフの 4大戯曲の一つ、「三人姉妹」 (浦雅春訳)の幕切れ近く、 三女イリーナのセリフである ▲先月発表された政府の 「骨太の方針」を読んでいると、 そんなチェーホフの言葉が 浮かんできた。 2030年代に人口減少の加速化が 見込まれ、経済成長のためには 「生産性向上」「労働参加拡大」が 必要だという。まさに 「働かなくてはいけないのね」だ ▲夢に見るモスクワへの帰郷は かなわず、幸せも遠のく。 「三人姉妹」に限らず、 チェーホフは思い通りにならない 人生の中で、なんとか現実と 折り合いをつけながら生きていく 人々を愛情とユーモア、ペーソスを 込めて描いている ▲日本では明治時代に紹介されて 以来、絶えず上演されてきた。