「昆布のヨウ素は本当に健康被害となるほどの量だったのか」。先月の本紙生活面「昆布ヨウ素 豪州で健康被害の集団訴訟」の記事で、元国際甲状腺学会会長で長崎大の長瀧重信名誉教授から疑問の声が寄せられた。海外ではヨウ素過剰摂取のリスクが指摘されるが、日本人は昆布からヨウ素を大量に摂取してきた。長瀧名誉教授は「日本食の安全性を示すため、ヨウ素と健康の関係について日本から世界に正しい情報を発信する必要がある」としている。(平沢裕子)症状は一過性 ヨウ素は、人間の体の生理学的機能を正常に保つうえで不可欠の元素(必須ミネラル)。不足・過剰のいずれでも健康にさまざまな影響を引き起こす可能性があり、WHO(世界保健機関)は1日当たりの推奨摂取量を成人で0・15ミリグラム(妊婦と授乳中は0・2ミリグラム)としている。昆布を食べる日本人で不足が問題となることはないが、世界中で約7億4千万人(世界人口の約13%)超