音楽や芸術に携わる人たちが地方に移り住み、創作に打ち込む動きが広がりつつある。京都府の南山城村では、ドイツ生まれのテクノポップバンドが地域に根ざす。豊かな自然、低い生活コスト、インターネットで魅力発信……。移住者と地元が「ウインウイン(双方に利益がある意)」の関係で結びつき、街おこしにつながっている。 南山城村に春の足音が聞こえ始めた2月中旬。廃校になった小学校の講堂に電子楽器のリズムが響き渡った。観客は地元のほかに、都市部から訪れた若者の姿も。「村の人が温かく接してくれる。ここにしかない魅力がありますね」。毎月開かれるライブに通っている大阪市の会社員向井透恵(ゆきえ)さん(33)がほほ笑んだ。 演奏していたのは「Apotheke(アポテケ)」。アポテケはドイツ語で薬局を意味する。「音楽が人を癒やす薬にならないか」。そんな思いを込め、大阪府高槻市出身の里(さと)ロビンさん(30)ら日本人男