毎年参加していた故郷千葉県八日市場市(現匝瑳市)の祇園祭。病室でおはやしをCDで聞き、今夏も待ちわびていた=数年前、遺族提供 「歩きたい」 最後までそう願い続けた。「5、6歩なら歩けるから」。亡くなる4日前、家族に支えてくれと頼んだが、足を床に着けるのが精いっぱいだった。 テレビ朝日系の番組「ちい散歩」を始めて6年。行く先々で描いた約600枚の絵手紙を残し、歩いた2500キロは、道半ばだった。 2010年冬、番組の撮影現場でお会いした。驚くほどの健脚でたちまち町に溶け込むと、自ら撮影交渉。旧知の友人と再会したように会話を弾ませ、年配の職人とは涙ぐみながら話し込んだ。ごちそうしてくれたシュークリームを一緒にほお張り、「街歩きの魅力はね、そこに住む人たちの日常にあるんだよ」と教えてくれた。 続きを読むこの記事の続きをお読みいただくには、会員登録が必要です。登録申し込みログインする(会員