国税当局が、巨額の資産を持つ富裕層への監視を強めている。海外資産を申告せず、子への相続や贈与などで納税しないケースが目立つためだ。悪質な税逃れもあるとみられ、当局は東京と大阪に専従チームを設け、適正に課税しようと狙う。一方、富裕層側は海外移住を進め、短い期間で外国を転々とする「永遠の旅行者」になるなど、新たな資産防衛策を採る人も出ている。 (土門哲雄) 「昨年、一昨年は海外に移住するお客さまをたくさん見送りました」。都内の税理士の男性(43)が明かす。こうした顧客の多くは富裕層。来年から相続税が最高50%から55%に引き上げられるのを前に、海外に拠点を移したという。