日本は現在、地震活動度の高い時期を迎え、マグニチュード(M)8クラスの巨大地震をはじめ、大きな地震が多発するおそれがある。防災対策の重要性が高まる中、行政や市民には、どのような取り組み、考え方が求められているのだろうか。都市震災軽減工学の第一人者であり、東京大学 生産技術研究所 都市基盤安全工学国際センター長の目黒公郎教授に聞いた。 ―東日本大震災を機に、国や地方自治体も防災対策に積極的に取り組んでいます。その進ちょくをどのようにご覧になっていますか。また、不備があるとすれば、どのようなことから取り組むべきでしょうか。 目黒 残念ながら、現状の取り組みでは、事後対応に力点を置くものが多く、防災上の効果が高いとは言えない。 正しい防災対策は、リスクマネジメント(リスク管理)とクライシスマネジメント(危機管理)の観点から取り組むことで達成される。具体的な対策は、事前の「被害抑止力、被害軽減力、