2007年9月刊。良い本だと思いましたが、意外なほど採り上げられていませんね。値段が3200円と通常のビジネス書の2倍ぶんだからでしょうか。 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビューに掲載された論文の中で組織心理学に関連するものを選り抜いています。ダイヤモンド社の書籍紹介ページから、章立てだけ抜き出しておきます。 第1章 受動攻撃性:変化を拒む組織の病 第2章 信頼の敵 第3章 沈黙が組織を殺す 第4章 「不測の事態」の心理学 第5章 なぜ地位は人を堕落させるのか 第6章 楽観主義が意思決定を歪める 第7章 「意識の壁」が状況判断を曇らせる 第8章 リーダーシップの不条理 第9章 転移の力:フォロワーシップの心理学 第10章 卑屈な完全主義者の弊害 第11章 善意の会計士が不正監査を犯す理由 第12章 選択バイアスの罠 第13章 道徳家ほどおのれの偏見に気づかない 第14章 失敗に寛
「資格試験も、事前のトレーニングもなかった。ある日、そうなってくれと言われて、なることになった」 ある組織のマネジャーが、マネジャーになったときのことを振り返って、そう言っていました。 我々が人生で演じる役割の多くは、望んでいた役であろうがなかろうが、ぶっつけ本番です。マネジャーはおろか、最高の職位である社長もそうですよね。「候補として」「次期社長含みで」という形で準備期間を設けるケースもありますが、候補と本物はまったく違います。生活上の役割も同じこと。夫(妻)や父(母)になるために資格試験に合格しなければならないとか、インターン期間を経なければ免許がもらえないとかいうことはありません。 大事な役割であっても、試験もトレーニングもない。上のマネジャーの発言かは、わたしに二つの新たな気づきを与えてくれました。 一つは、自分の体験をよく観察し、そこから学び取って適応していくことを、不断に・意識
●刺激的な問いの数々 著者はまず、技術やビジネス環境がこれほど速く変化しているのに『近代経営管理の重要なツールや技法のほとんどは、一九世紀の、南北戦争が終わって間もないころに生まれた人びとによって発明された(p6)』まま変わっていないことを指摘します。 これは、経営管理(Business Administration)の仕組みが十分に成熟したので、さらなる進化は必要ないということを意味しているのか。そうでないことは、この簡単な自問によって分かります。『よりよいものを求めるのはもう無意味であると言えるほど、我々の会社生活は充実しているだろうか。我々の組織は高い能力を備えているだろうか。(p7)』 この問いを皮切りに、著者は数多くの問いを読者に投げかけてきます。明示的な問いかけのリストになっているものもあれば、読者の考察を誘うような挑発的な文章もあります。 ●どこまで大きく、本質に立ち戻って考
ウィンダム・ヒル・ミュージック・カンパニーの創立者でCEOのウィル・アッカーマンが父と交わした会話から。父は退官した大学教授。 引用:ある夜、アッカーマンは父とポーチのロッキングチェアでくつろぎながら、新規事業について話していた。「建築もやったし音楽もやった。つぎは何をするか悩んでいるんだ」 すると父はこう言った。「私は、人生で決断したことなんて一度もないね」 アッカーマンは最初、「がっかり」したが、その後、気づいたという。何が正しいのかがわかれば、決断する必要はないのだと。何が正しいかわかった時、それは目の前にあり、ただやればいいのだと。(p167) ― P. センゲほか 『出現する未来』 講談社 2006年 『何が正しいのかがわかれば、決断する必要はない』。当たり前のように思えます。多くの場合、何が自分にとって正しいのかが分からない。だから迷い、敢えて決断しているわけです。 しかし文章
トップセールスの行動特性 知人のAさんは生命保険の会社で営業職として7年ほど働いた後、5年ほど前に独立して、個人で代理店を営んでいます。独立以前から、トップセールスの証であるMDRTの入会資格を継続して保持されているほどの優秀なセールスパーソンです。そのAさんから面白いエピソードを聞きました。 ある年の8月、Aさんは知人の紹介で、ある企業に大きな契約の提案をする機会を得ました。既に大手企業を含む数社が提案済みで、Aさんは出遅れ状態だったそうです。社長は「忙しくなってしまったから、4月に検討するよ」といってAさんの提案を預かりました。 そして4月。「あの件、どうなりましたか?」と社長に連絡してみたAさんは、他の企業が全て脱落していたことを知ります。多くの企業は、その後も毎月のように「社長、その後いかがですか?」訪問してきました。社長が「次の4月に検討する」と言ったのにもかかわらず、です。しか
『自滅する企業 エクセレント・カンパニーを蝕む7つの習慣病』という本は、成功した企業が変化に適応できず滅んでいくメカニズムを追っている本です。個人に置き換えて読んでいくと身につまされることが多く、読みながらなんとなく焦ってきてしまいました。 個人における生活習慣病のごとく、自滅に至る企業が罹りがちな7つの習慣病が挙げられています。その第一は「現実否認症」。トレンドの変化など観察可能な事実から目を背けてしまう病気で、それは成功の原因をすべて自分に帰するところから始まるようです。 引用: 私が調査した多くの企業では、底辺から出発したことを忘れ去り、自らの偉大さを神話化するようになると、現実否認が進行しはじめるようだ。偶然成功した企業がどれほど多いことか、また、尊敬されている企業の中にも、幸運にもタイミングよく成功する場所にいた企業がどれほど多いことか。そう考えると、現実否認に陥る傾向は非常に印
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く