民主党政権は、消費税の増税を柱とする社会保障と税の一体改革を推し進めている。しかし、相次ぐマニフェスト違反に身内からも異論が噴出し、政権は一枚岩ではない。一方で、それを追求する野党も、必ずしも足並みが揃っているわけではない。国会が紛糾の度合いを強めるなか、国民には本来議論されるべき明確な国家ビジョンが見えてこない。未曾有の大震災から1年を経てもなお、目先の議論ばかりを続けている政治家たちは、いかに「新しい国づくり」を目指すべきか。かつて自身の内閣で「美しい日本」をキャッチフレーズにし、国づくりの明確な姿勢を打ち出した安倍晋三・元首相が、今求められている国家の改革について提言する。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 編集長・原英次郎、小尾拓也 撮影/宇佐見利明) なぜ「国の形」が見えてこないのか 民主党に求められる国家経営の観念 ――相次ぐマニフェスト違反により、民主党政権の支持率は急落して