韓国の国立障害者図書館と図書館での障害者サービスの現状 大手前大学総合文化学部:孫誌衒(そん じひょん) はじめに 韓国では、10年前の2006年に図書館法(도서관법)が改正され(法律第8069号)、障害者に対する情報へのアクセスの保障が図書館の責務として法的に明示された。その後、2012年には、障害者サービスを推進する国立障害者図書館が設置され、種々の新たなサービスが提供されるに至っている(1)。 本稿では、韓国における障害者サービス拡充のための法改正の経緯を確認しながら、国立障害者図書館設立の経緯や機能、障害者サービスの現状、新たな取組みについて紹介する。 1.国立障害者図書館設立の経緯とその機能 1.1. 国立障害者図書館の設立 韓国の図書館における障害者サービスの改革は、2006年の図書館法の全面改正が重要な契機となった。この改正では情報アクセスおよび図書館サービス利用の格差解