太陽光と風力による発電を一時的に止める「出力制御」が急増しています。朝日新聞の集計で、2023年に制御された電力量は全国で計約19・2億キロワット時に達しました。過去最多だった21年の3倍超です。何…

太陽光と風力による発電を一時的に止める「出力制御」が急増しています。朝日新聞の集計で、2023年に制御された電力量は全国で計約19・2億キロワット時に達しました。過去最多だった21年の3倍超です。何…
東京電力柏崎刈羽原発。左から1号機、2号機、3号機、4号機、7号機、6号機、5号機=新潟県で2021年4月13日午後2時58分、本社機「希望」から テロ対策の不備などを理由に東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)に出されていた運転禁止命令が、27日に解除される。 原子力規制委員会は、問題点が是正され、核物質の防護に主体的に取り組む体制が整ったと判断した。6、7号機の再稼働を目指す東電は今後、地元の同意を得る手続きを急ぐ方針だ。
原発を動かす限り増え続ける高レベル放射性廃棄物(核のごみ)をどこに埋めるのか。政府は、候補地探しが難航する現実を直視しなければならない。 長崎県対馬市の比田勝尚喜(ひたかつなおき)市長が、最終処分場建設に向けた第1段階である「文献調査」を受け入れないと表明した。それに先立ち、市議会は受け入れを求める請願を採択していた。 市長は住民の合意形成が不十分なことを理由に挙げた。水産業と観光業が風評被害に見舞われる懸念にも言及し「対馬の将来を左右する重要案件だが、市民の不安を払拭(ふっしょく)できない」と語った。 最終処分は、核のごみを専用の容器に入れ、地下深くに埋める。保管は数万年以上に及ぶ。 政府は2002年に候補地の公募を始めた。10カ所程度から絞り込みたい考えだが、具体的な動きは北海道の2自治体で進む文献調査にとどまる。 いずれも財政難と人口減少に直面している。文献調査に同意すれば、最大20
東京電力福島第1原発の処理水を海洋放出することへの不信や不安に、政府は誠実に向き合わなければならない。 放出計画について、国際原子力機関(IAEA)が「国際的な安全基準に合致している」とする報告書を公表した。 専門家らで構成される「核の番人」が出した結論である。夏ごろの放出開始を目指す政府は、「国際社会の理解を醸成する上で重要」と評価している。 第1原発では、溶融した核燃料に雨や地下水が触れ、放射能を帯びた汚染水が、毎日90トンずつ発生している。処理した後、敷地内に設置したタンクで保管しているが、東電は「来年2~6月ごろ満杯になる」と予測する。このままでは、廃炉のための作業に支障が出るという。 処理水は、専用の設備で大半の放射性物質を取り除いたものだが、トリチウムだけは残る。このため、放出する際は海水で薄め、濃度を世界保健機関(WHO)が定める飲料水基準の7分の1に抑える計画だ。 IAEA
岸田政権の原発政策について問題点を指摘する金子勝氏=2023年3月2日、「原発ゼロ・再エネ100の会」の公開動画から 超党派「原発ゼロの会」の指摘(上) 「この法案は根本的に欠陥がある。電力会社に60年を超え、原発を限りなく動かすインセンティブ(誘因)を与えることになる」。岸田政権が今国会で成立を目指す「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」について、金子勝慶応大名誉教授(財政学)はこう指摘する。一体どういうことなのか。 超党派の国会議員らで作る議員連盟「原発ゼロ・再エネ100の会」が3月2日、岸田政権が進める原発政策の見直しについて衆院第2議員会館で議論した。この中で金子氏は有識者代表として、国会議員や官僚らを前に法案の問題点を指摘した。 岸田政権は法案の中で、2033年度から電力会社に対する「排出量取引制度」の導入を目指している。この制度は政府が電力会社の二酸化炭素(
東京電力福島第1原発1号機で、原子炉を支える鉄筋コンクリート製の土台に損傷が見つかり、東電の対応が問われている。 厚さ1・2メートル、直径6メートルの筒形で、核燃料を収めた圧力容器を支えている。ロボットを使って調べた結果、土台のほぼ全周に損傷がみられ、鉄筋がむき出しになっている様子が確認された。 1号機では2011年3月に炉心溶融事故が起きた。大量の核燃料が溶けて圧力容器を破り、格納容器内に散乱した。その際、高温状態が長期間続いたことでコンクリートが溶解したとみられる。 懸念されるのは、地震などの衝撃に土台が耐えきれず、圧力容器が沈み込むことだ。配管部分に負荷がかかって格納容器に穴が開き、内部の放射性物質が外に漏れ出す事故につながりかねない。 1号機の原子炉建屋は水素爆発で大きく壊れ、気密性が低い。不測の事態に備えて覆いを設置するなど、対処が求められる。 事故から12年が経過し、溶け落ちた
「東京電力エナジーパートナー(EP)が赤字となった理由は燃料の高騰だけでは説明できない。原子力の発電がゼロでも維持管理に年間で約4900億円負担する契約があるからだ。この契約をやめれば赤字を解消できるのではないか」 東京電力ホールディングス(HD)が6月28日、東京都内で開いた株主総会では、停止中の原発の維持管理費用や電気料金引き上げをめぐる議論が相次いだ。冒頭の株主の質問に東電は何と答えたのか。 東電EPは東電HD傘下で電力を販売する子会社だ。最終赤字となった東電は火力発電の燃料高騰などを理由に、一般家庭に供給する電気の規制料金を6月1日から平均15.9%値上げした。 「原発やめれば料金下がる」 冒頭の株主が質問した年間約4900億円の費用とは、東電EPが負担する原発の維持管理費用や人件費などだ。停止中の柏崎刈羽原発(新潟県)や福島第1、第2原発(福島県)の維持管理費用など4076億円の
岸田文雄首相が「今国会での衆院解散は考えていない」と表明した。自ら「解散風」をあおるような発言をした揚げ句に見送るとは、権力をもてあそんでいるとしか言えまい。 首相は解散について「今は考えていない」と繰り返してきたが、13日の記者会見で「情勢をよく見極めたい」と表現を変えた。発言が注目される中、解散の可能性に含みを持たせたと受け止められたのは当然だ。 解散は、国民に選ばれた衆院議員の資格を任期満了前に失わせ、主権者の審判を問い直す重大な行為である。まだ任期4年の折り返し点にも達していない。本来、軽々しく扱うべきものではない。 自民党内で早期解散論が広がったのは、広島での主要7カ国首脳会議(G7サミット)を受けて内閣支持率が上昇したからだ。だが、「今なら選挙に勝てる」という打算だけで、大義に乏しかった。 憲法に解散権を明示した規定はないが、実質的には内閣に決定権があると解釈されてきた。行使に
GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法が31日に参院本会議で可決、成立し、原子力政策は大きな転換点を迎えた。 電気事業法や原子炉等規制法の改正で、原子力規制委員会による安全審査で停止していた期間などを上乗せできるようになり、既存原発の60年超運転が可能になる。改正原子力基本法に原発活用の方針を盛り込むことで、政府は東京電力福島第1原発事故以降「想定していない」としていた次世代原発のリプレース(建て替え)も進める方針だ。 政府が原発活用にかじを切るのは、脱炭素化の実現とエネルギーの安定供給が狙いで、西村康稔経済産業相も同日、記者団に対し「原子力の活用と再エネの最大限導入は『車の両輪』。今回はその両輪を加速させていくための意味のある法案が成立した」と述べた。原発は「安全確保を大前提として、地域の皆さんの理解を得ながら再稼働を進めていく」と語った。
ドイツの原発が全基停止した日、放射能のマークが風車に変わっていく様子を「進歩」と表現する市民=ドイツ・ベルリンで2023年4月15日、AP ここは書かないわけにはいかない。ドイツが4月15日に脱原発を達成した。「とうとうその日がきたのか」と感慨深い。 思い出すのは2015年、ドイツに「エネルギーベンデ(大転換)」の取材に出かけた時のことだ。国内最大の電力会社「エーオン」のエネルギー政策担当者が淡々と語っていた。 「個人的には原発はクリーンなエネルギーとして優れていると思います。でも、そういう意見を言う段階は過ぎたのです」。誰が政権を取ろうと脱原発は変わらない。電力業界の諦めにも似た認識が覆されることはなかったわけだ。 東京電力の福島第1原発事故をきっかけに業界がなんと言おうと脱原発を進めたドイツ。事故の当事者でありながら開き直りのように「原発回帰」にかじを切る日本の政府。いったい何が違うの
「脱原発」政策を掲げるドイツで、最後の原子炉3基が運転を終了した。2000年の決定以来、歴代の政権が取り組み、20年以上かけて実現させた。 一貫していたのは「原発に依存し続けることはリスクが大き過ぎる」という共通認識である。 発端は1986年、旧ソ連のチェルノブイリ原発で起きた事故だ。東西冷戦下、最前線の国として情報不足と被ばくの恐怖に直面した。原子力に懐疑的な世論を受け、社会民主党と「緑の党」の連立政権が脱原発にかじを切った。 エネルギー転換も進めた。再生可能エネルギー推進のための法整備、再エネを一定の価格で買い取る制度によって電源の多様化を図った。電力自由化も後押しした。 中道右派のメルケル政権は原発の運転期間を延長したが、11年に東京電力福島第1原発事故が起きると脱原発路線に回帰した。当時、メルケル首相は「福島が私の考えを変えた」と語り、22年末までの全廃を宣言した。 ロシアのウクラ
秋田県沖に立つ33基の風車が2022年12月から23年1月にかけて、全国初の商業運転を始めた。国が再生可能エネルギー主力電源化の「切り札」として推進する洋上風力発電は、地域に何をもたらすのか。国策の舞台となった地元・秋田で1年間にわたり取材し、1月にニュースサイトと地域面で連載した。不安を抱えながらも受け入れた漁業者を含め、地域活性化への県民の期待は大きいが、実現はこれからだ。将来を見据えた骨太な議論が求められる。 洋上風力は安定して吹く海上の風を利用し、島国の日本で大量導入が見込まれる。発電事業者に30年間の海域占有を認める再生可能エネルギー海域利用法が施行された19年以降、国が旗振り役となり、各地で計画が進んでいる。
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