天才的なCM「未来を書こう」はセンセーションから「祟り」に転落。ナイキはW杯という魔物をどう読み違えたのか 当初はさぞかし素晴らしいアイデアに思えたことだろう。スーパースターたちを集め、カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した『バベル』のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の手で仕上げた芸術作品のようなワールドカップ(W杯)向けのCMで、長年のライバルであり国際サッカー連盟(FIFA)の公式パートナーでもあるアディダスの天下を奪ってやろう、というのだ。 このCM「未来を書こう」が初めてテレビやネットで流れた時はたちまち傑作と絶賛され、広告的天才の発露とも評された。動画サイト、ユーチューブの閲覧回数は、公開後1週間で史上最高の780万回に達し、まさに「アンブッシュ・マーケティング(潜り広告)」の技を極めたかのように見えた。 このCMが成功したのは映像が素晴らしいほか、見る者誰もが共感できる、