「はい」「アメリカ4391・・・」「次」「ブラジル」――。IHI建機本社工場の部品部で働く社員は、入庫やピッキング、検品の作業時につぶやきながら働く。独り言ではない。音声入力の物流システムからヘッドセットを通じて届く指示を聞き、応答したりしているいるのだ。「アメリカ」はアルファベットのA、「ブラジル」はBを指す。機械が聞き取りやすいように現場で考えた工夫だ。ちなみにCは「チャイナ」、Dは「デンマーク」。数字の9とアルファベットのQは混同しやすいので、後者は「クイーン」と発音することにしている。Hは数字の1に似ているので「ハリウッド」にした。 同社が米ヴォコレクト社製の音声入力対応の物流システムを導入したのは2008年8月。入荷や入庫、棚卸しといった業務に採用した。2009年2月からはピッキングや出荷検品へと適用範囲を広げた。従来、社員はPDA(携帯情報端末)と指示書と呼ばれる紙を見ながら倉