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読み物に関するamenomorinoのブックマーク (5)

  • 【読み物】祭りおじさんと浩介 - ←ズイショ→

    「祭りおじさ~ん!」 両の拳を夜空に突き立ててガニ股で叫ぶひょっとこのお面をつけたこのおじさん、只今ご人からもお名乗り頂きました通り、祭りおじさんであーる。自称も通称もまるっと祭りおじさん。地元の人以外は日中誰も名前も知らないだろう小さなお山の足下に位置するこの小さな町で、実際のところはすこぶるささやかにそれでいて町民感覚では随分おおげさに催されるこの祭りの日、その日に限って言えば祭りおじさんは自他共に認める完全無欠の祭りおじさんなのだ。スラックスのズボンにカッターシャツの上から水色のはっぴを着込み真っ赤な「祭」の文字を背負い、トレードマークであるひょっとこのお面の向こう側からくぐもった声で、祭りおじさんは行き交う人々におどけて見せる。 「祭りおじさ~ん!」 大鳥居へと続くその通りは左右に出店が並んでいて、だからみんな何かしらをべながら飲みながら歩いてる。だから祭りおじさんに道を阻ま

    【読み物】祭りおじさんと浩介 - ←ズイショ→
    amenomorino
    amenomorino 2015/08/29
    せつない。
  • たとえば夫がふなっしーだったら - learn to forget

    夫は人間の皮をかぶったふなっしーで、そのことを普段は決して言いませんけれど、ふとしたときに思い出します。わたしたちが出会ったのは梨園だったから。わたしはかれが梨の妖精だと含み知った上で、半分くらいは好奇心でもって、付き合いました。出かける先は果樹園もしくは船橋市内ばかりであったけど、かれと一緒にいると不思議と心が落ち着きました。わたしの前では普通の男性のようにふるまおうとして、車道側を歩いてくれたり荷物を持ってくれたり、とてもいじましい。その心遣いも嬉しかったものの、時たまかれの足元に染み出る梨汁の小さな水たまりを見とめると、その方に胸がざわめくのでした。当はこっそり味を確かめたいくらいでした。ハンカチに汁を染ませて持ち帰り、部屋で検めたことも何度かあります。そんなわたしは変態なんだと、世間の人は気づいていないけれど、唯わたしだけが知るその事実を心に言い聞かせ、日々は続きました。それは甘

    たとえば夫がふなっしーだったら - learn to forget
  • ヒマものがたり - DAILY OKAPPA

    むかし或る処に、すぐ謝る女と絶対に謝らない女がいた。 すぐ謝る女は絶対に謝らない女の妹で、2人は双子だった。 photo by Pascal Vuylsteker すぐ謝る女は、人から軽く扱われた。 そのような扱いは不意だったが、「白黒つかない」或いは「勝ち目がない」と判断すればさっさと謝るのが女の常だった。 相手も人間だから「御免」と言われれば態度を軟化させるもの。これまでもたいていの人はモゴモゴと少し毒づいた後、女の言い分に耳を傾けてくれたし、実際に反省したかどうかはたいして重要じゃないーーーというのが女の考え方だった。 一方、絶対に謝らない女の周辺は争いが絶えなかった。生来、女は攻撃的な性質ではなかったが、困難な暮らしぶり・生真面目な気質・自尊心…そうしたものがケミストリーを起こし女は武装するに至った。もちろん10年前に理不尽な返り討ちにあったことも無関係ではないだろう。 当時の無

    ヒマものがたり - DAILY OKAPPA
    amenomorino
    amenomorino 2015/02/27
    寓話的なこま…
  • 重なるふたり - このはなブログ

    そのとき千鶴は思わず、これはもしかして母が喋っているのではないかと錯覚した。 しかしながらそこにいるのは千鶴と、友人である洋介だけであった。 当たり前だ、ここに母がいるわけがない。 そう考えながら右手に持ったジョッキをぐいと傾けた。 ぬるくなった液体が、少しの刺激とともにサラサラと喉を通過していく。 「あ、生でいい?」 「うん。」 千鶴のジョッキが空くのを見ると洋介はすぐに店員を呼び、自分の分と千鶴の分の生ビールを追加で注文した。 2人ともかれこれもう6杯ほどのジョッキを空にしているが、洋介がまだまだ帰る気ではない様子を見て千鶴は安堵した。 アルコールによる作用と洋介の心地よい相槌のおかけで、千鶴はいつになく饒舌だった。 今は自分の好きな小説家のことを熱く語っているところだ。 しかしながら、先ほどから自分の声に被さって聞こえてくる母の声がいちいち陶しい。 酔ってぼやっとした頭の中には、ベ

    重なるふたり - このはなブログ
  • 【読み物】左足首に犬 - ←ズイショ→

    がらーんとしてるとはまさにこのことだ。 仕事終えて家路についてガチャっとドアを開けたら気配がする。誰もいない気配がする。来であればがいるはずのそういう感覚がまったくない気配がする。案の定、誰もいない。こんな時に昨日までと比べて部屋がずいぶん広く思えるみたいな比喩を時たま見かけるけどありゃあ嘘だな。一人分減っただけだ。この家は、昨日と同じとおりでただだけがいない。人っこ一人分、広々としていやがる。 それだけだ。 そう言ってしまえばこの家は、ずっと俺とあいつがいるだけの空間だった。家庭とかそういう感じ全然なかったままだった。いずれ家庭になるだろうなと思っていた、お互いに。ここに俺とに続く三人目さえやってきてくれれば、それでうまく回るだろうとお互いに楽観視していたところは多分にある。そして三人目は遂にやってこなかった。遂に、と言うのは、つまり俺たちがいつのまにか諦めてしまったということだ

    【読み物】左足首に犬 - ←ズイショ→
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