おれの祖父母のうち、父の母のみが存命である。年齢は90を超えていると思う。今はおれの父と母と暮らしている。 その祖母、年を追うごとに頑固、強情になっているという。この暑い夏、エアコンは嫌い。ならば扇風機、といっても、それもスイッチを切ってしまう。「お歳のせいで暑さを感じにくくなっているのだから、つけっぱなしにしてくださいね」と母が言っても聞きはしない。それでも熱中症があぶないからとスイッチを入れておくと、今度はコンセントから引っこ抜いてしまう。「暑くないんですもの」。 そして、部屋のドアを閉めて、大きな音量で高校野球など見ているという。「風が入らないと熱中症が……」といっても、ドアを閉めてしまう。せめてドアを開 きっぱなしにさせようと、ドアを開けて2Lのペットボトルがたくさんはいった箱を置いておいても、どけてしまうという。けっこう力持ちだ。「暑くないんですもの」。 水分もあまり摂らないとい