おれは珍しく地上波で流れているカープの試合を見ながら、雑にカレーを作り始めた。 おれのカレー作りは雑だ。おれのカレーは雑だ。 おれは、フライパンの上になにか赤い豆の煮たものをぶちまけた。 おれは、フライパンの上にトマト缶の中身をぶちまけた。 おれは、フライパンの上に鳥のひき肉をぶちまけた。 まだ、火はつけていない。おれは珍しく地上波で流れているカープの試合を見ていたからだ。生肉をいれてしまったのだし、このぐちゃぐちゃななにかに軽く火を通しておこうかと思った。 点火ツマミを押す、回す、カチッと音がする、ボッと火がつく。 ……しゅん、と火が消える。 まあ、そんなこともあるだろう。おれはやり直す。ボッ、……しゅん。 また、やり直す、ボッ、……しゅん。 おれは、おかしいな、と思う。賢明なおれは、あまり使わないもう一口の方の点火ツマミを押し込み、回した。ボッ、……しゅん。以下繰り返し。 コンロの「お